鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「ナンノコッチャ?」だけど面白かったです:読書録「青の数学」

・青の数学
・青の数学2 ユークリッドエクスプローラ
著者:王城夕紀
出版:新潮文庫

青の数学 (新潮文庫nex)

青の数学 (新潮文庫nex)

青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)

青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)


「数学」に取り憑かれた高校生たちが、ネット空間や「合宿」などで競い合う中で、
「数学って、何?」
と言う問いに対する自らの「答え」(それは自分自身の存在意義を問う問いへの「答え」でもある)を探してもがく「青春小説」。
本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国」オリジナル文庫大賞>の帯に釣られて読んだ作品ですが、予想以上に面白かったです。


いや、取り上げられてる「数学」の問題については完全に、
「ナンノコッチャ」
で、読み飛ばしだったんですけどねw。
これはもう、自分にとって「数学とは『縁なきもの』」ってのを痛感させられる読書体験でもあったんですが、そこを外せば、要は「競い合う」なかで、自分たちの「アイデンテティ」を探すと言う、「スポ根青春小説」の<王道>パターン。
一作目で、「数学において<競う>」と言うことの「面白さ」や「可能性」を見せながら、
二作目で「競うこと」が「数学」の、そして自分たちのアイデンテティを揺るがす可能性に直面させ、そこを突破させる、
と言う展開の構図は、「よくできてるなぁ」と思いました。「盛り上がって、一回停滞させ、そっから更に盛り立てる」…って構図ねw。


いろんなキャラが登場して「あーだこーだ」と絡んでくるのはラノベ的。
なんだかんだ言いながら、主人公に多くの女性キャラが関係してくるあたりは<厨二病>的でもあるかなw。ま、恋愛沙汰ってのはそんなに強くは前に出てきてないんですが。(そこがイイのも確か)
でもそう言うキャラの入り乱れも含めて、僕は楽しめましたけどね。
「人間が書けてない」
っていやぁ、まあそうかも知んないけど。


「続編」はあるかな?
一応、構成としては二作で「閉じた」形にはなってますけどね。
ただ、このキャラたちの「その後」が見てみたいって気持ちは残りました。
あったら、読むけどなぁ〜。