鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

実証実験に基づいた論考。でも…:読書録「超高齢社会2.0」

・超高齢社会2.0 クラウド時代の働き方革命
著者:檜山敦
出版:平凡社新書


「働き方革命」に関してチョット勉強してて、「労働生産性向上」「女性の活躍推進」「AI・ロボットによる労働力代替」「外国人労働者(移民)迎い入れ」等のことは何冊か読んでるのに、シニア労働者についてはあまり読んでないな…と思って購入した一冊。
自分にとっては一番「身近」な未来図のはずなのにねw。


作者はICTを活用したシニア支援の実証実験をかなりシッカリとやってる学者さんで、紹介されてる事例は、SFチック…と言うよりはかなり「現実的」な路線に裏付けされた内容になっています。
それだけに「ワクワクしないなぁ」って感じがしなくもないんですがw、そりゃチョット無い物ねだりかもしれません。
「ワクワクしない」って言ったって、ここで紹介されてるシニアの「働き方」だって、実現には結構色々ハードルありますからね。


間近に迫った「超高齢社会」においては「シニア」の労働参画が極めて重要。人口分布から考えれば、近い将来ボリュームゾーンとなる65歳以上の層が、60歳未満の「現役」労働者層をサポートするような働きをしなければ、社会は回らなくなる。
一方で「シニア」には現役世代とは違う「制限」がある。<空間(住んでいる場所)><時間(働ける/働きたい時間)><スキル(身につけている経験・知見)>を「現役」のようにフルに使うことができないシニア層を「労働力」として活用するには、これらの「モザイク」を調整して、複数の「シニア」で求められる<労働>を満たすような仕組みが必要。
この「仕組み」をICTで実現することが必要だし、その技術は「現実化」しつつある。


ザク〜っとまとめれば、こんな感じでしょうか?
このモザイク調整のICTについて作者は結構実証実験を進めていて、そこが「現実感」の裏付けともなっているし、「ワクワク」仕切れない理由にもなっている感じです。
まあ基本的に、「スケジュール調整」と「経験・知見のマッチング機能」ですからね〜。
「それが重要」と言うのはもちろん分かりますし、「まあそこだよね」とも思うんですが、(チョット紹介されてる)VRやロボットを使った遠隔労働の世界に比べると、如何にも「地味」です。
我が身を省みると、「それが重要」と、やっぱり思うわけではありますがw。


ポイントは「データ」ですかね。
スケジュール調整はそれほどでもないでしょうが、「経験・知見」「スキル」のデータ化ってのは難しい。
僕自身も含まれる、ミドルホワイトカラーの、ここら辺のデータ化は特に…です。基本的に「ゼネラリスト」を目指した教育・働き方をしてますからね。この層は。
勿論、その点については本書も意識的ですし、その点に関する丁寧なフォローも論じられています。
だからこそ、一層「地味」な感じもしちゃうんですけどw。


もうちょい「ワクワク感」を盛り込むとしたら、ここにどう「AI」が絡んでくるか…あたりでしょうか?
ただそこに踏み込むと、途端に不透明性が高くなります。「物語性」が高くなるとも言えますがw。
「現状」の方向性を考えると、本書で論じられてる方向性になるんでしょうね。
とは言え、そこに「自分」がどう位置付けられるのかは、やっぱり分かんないですけど。