鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

自動車メーカー情報が中心ですが:読書録「2020年、人工知能は車を運転するのか」

・2020年、人工知能は車を運転するのか 自動運転の現在・過去・未来
著者:西村直人
出版:インプレス

2020年、人工知能は車を運転するのか ~自動運転の現在・過去・未来~

2020年、人工知能は車を運転するのか ~自動運転の現在・過去・未来~


表題への答えは、
「完全自動運転は2020年は無理。でも2050年なら現実的」
と言うトコロでしょうか。
「えらい先」って感じもしましすが、
「技術的なところは見えてきたけど、(条約改正を含め)法的・社会的・感情的なところのハードルは今も高く、そこのランディングを考えるとこれくらい」
ってとこだと思います。「保守的」ではありますが、「現実的」かも。


本書に関しては、表紙が江口寿史風のイラストだったので(江口寿史じゃないですけどw)、もっと軽い読み物風かと思ってたんですが、読んでみたら結構硬くて、専門的な面も。
内閣府SIP-adus)や各メーカーの安全運転技術の話なんかが中心になってますから、「権威的」な色彩が強くなってる感はありますが、「競争領域」よりも「協調領域」のほうが重要な取り組みだけに(インフラの整備や情報交換の仕組み等)、ここら辺から整理してくれてるのは分かりやすかったです。
「ACC(Adaptive Cruise Control)」が自動運転につながっていくって流れも、「ABS」くらいで知識が止まっちゃってるw僕としては、知識のアップデートと頭の整理になりました。
「安全運転装置の進化」って言う感じから、日常「運転」という「行動/作業」の中に「自動運転技術」が入ってくる流れの中で、インフラの整備や社会的な許容性の進展タイミングを見つつ、「完全自動運転」が実現していく…というのが本書の見立てでしょう。


それ自体は実に「現実的」だと思います。
プレイヤーが今の自動車メーカー中心なら。


問題は「テスラ」のように他業態から、あるいは全くの新規で「自動車製造」という業態に参入があるか、彼らがどのような動きをし、それが社会の変容をどの程度進めていくか…じゃないでしょうか?
もちろん「自動車製造」ってのはPCほど簡単なものじゃないし(だからこそ、GoogleAppleも、動きがはっきりしない)、リスクも「死亡」にまで至る大きなものがあります。安易な動きは、社会の許容性を下げる方向に動く可能性だって少なくないでしょう。


そういう意味じゃ、やっぱり「テスラ」が鍵じゃないですかねぇ。
本書の欠点を挙げるとすると、「テスラ」へのインタビューがないこと。
まあ、「受けてもらえなかった」ってことじゃないかと思うんですが、大きな「ピース」が抜けているようで、ここのところが「画竜点睛を欠く」と申しましょうか…。
「それは他で情報収集すればいい」
とも言えますがね。


なんにせよ、「自動運転車」の現状と見通しを考える上においては、参考になる作品だと思います。
「硬い」ですけどw。