鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「ライフル」が成功するかどうかはわかりませんが:読書録「日本一働きたい会社のつくりかた」

・日本一働きたい会社のつくりかた 社員が夢中になれる企業、ライフルの人事は何をしているのか?
著者:羽田幸広
出版:PHP研究所


グローバルも含めた色々な調査で「働きたい会社」に選ばれている「ライフル」の人事部長が、今まで取り組んできた色々な取り組みを割とオープンに紹介している本。
正直、「ライフル」って知らなかったんですがw(不動産・住宅サイトのHOME'Sを運営している会社です)、本書はかなり良い本だと思います。「人事」と言うより、「人材育成」という観点から一読に値するかと。


この作者、よく勉強してるんですよ。
色々な取り組みがされてて、それらの一つ一つがもちろん参考になるんですが、場当たり的に色々やってみてるんじゃなくて、事例や研究・先行書を読んで、それを自分の組織に落とし込んで実践してるんですよね。
読んでると、
「あれ、これって、どっかで読んだような(聞いたような)…」
って取り組みがいくつかあるんですが、作者はそれらを勉強した上で自社の仕組みに取り入れています。(どっかに「他のことを捨てて、ひたすら人事関係の本を読んだり勉強会やセミナーに出まくった」みたいなことが書かれていました)
「勉強」し、それを組織に取り入れるべく「カスタマイズ」して、「実践」する。
単なる「勉強」に終わらず、ちゃんと「実践」につなげてるところが、もちろんスゴイんですけどね。


作者は自分が取り組んできたことをこんな風に整理しています。


<①ビジョン、カルチャーを明確にする
②ビジョン、カルチャーにフィットする人だけを役員・管理職に登用する
③ビジョン、カルチャーと経営活動を一貫させる
④社員を信じ、自由を作り、ガンガン任せ、情熱と才能を引き出す
⑤挑戦する社員にとって、安全な場所をつくる
⑥これらを阻害するものを取り除く>


どれも無茶苦茶重要だし、作者が取り組んだ具体的内容は刺激的で参考になるものばかり。「ビジョン、カルチャー」に関しては個人的にも最近思い至ることが多いです。
それを踏まえて、今、課題と認識しているのは「④」。これを実現するための「⑤」「⑥」あたりのことを一番考えています。
あんまり具体的に触れちゃうと差し障りもあるので避けますがw、「働き方改革」も絡めながらの最重要課題がココにあるかなぁ…と。(いわゆる「チームビルディング」)
その認識で「一歩」は踏み出したつもりですが、なかなか上手く回らないなぁとも思ってますがね(これは僕の力不足)。


「ライフル」が今後どう言う風に成長曲線を描くのか。それは僕にはわかりません。正直いえば、「ちょっと風呂敷広げすぎちゃう?」とも感じるんですが、世の中の動きは激しい。その流れに乗って一気に大きくなることもあり得るでしょう。
その成否はどうあれ、「人事制度」「人材育成」として本書で紹介されている内容は、汎用性のある内容だと思います。色々な知見や研究を取り入れて実践しているだけに、マネジメントや人材育成の「知識整理」としても、本書は価値のある一冊なのではないでしょうか。


もちろん、「同じことができるか」「やって成果に繋げれるか」は、また別の話ではありますがね。