鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

息子向けのつもりだったんですが…:読書録「凍りのくじら」

・凍りのくじら
著者:辻村深月
出版:講談社文庫

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)


各章には「ドラえもん」に出てくる「道具」の名前が付されています。


どこでもドア、カワイソメダル、もしもボックス、いやなことヒューズ、先取り約束機、ムードもりあげ楽団、ツーカー錠、タイムカプセル、どくさいスイッチ、四次元ポケット


みんな大好きドラえもん
もちろん、息子も大好きで、「ドラえもん」をモチーフにした青春小説なら向いてるかな…と思って購入。


甘かった。


そう言えばこの作者の作品は、デビュー作の「冷たい校舎の時は止まる」を読んでるんですが、あの時も、
「青春小説だけど、観念的で、どっか暗い…」
と思ったんでした。
本書もまさに。
そりゃ、「ドラえもん」にもそういう側面があるとは言えるでしょうが、ここまで「人の闇」をまともに取り上げてるとは予想してませんでした。
いや、「辻村深月」ワールドは、どうもそういうものらしいんですけどね。(つまり、僕の勉強不足です)


前半が何かもどかしい展開なのも「冷たい校舎…」と同じ。
感情移入しにくい「イヤな」キャラのヒロイン(自分が頭が良いと思い、周りをバカにしている)に苛立たせられます(それでも読んじゃうけど)。
そして後半の怒涛の展開。
これも「冷たい校舎…」同様。
二作読んだだけで断定はできませんが、これがこの作者の「パターン」なんでしょうかね?w


一番大きな「謎」の部分は、割と察しがつきやすいと思うんですが、だから「ダメ」とは思いません。
読み終えたら、それはそれなりの爽快感があったりしますし。
しかし親が中一の息子に進める本じゃないかなぁ。
勝手に本棚から持って行って読む。
そういうのが相応しい。
まだコレを楽しみ切るには少し早い気もしますが。
(と同時に、僕だともう遅すぎますね。そういう意味じゃ「青春小説」です。間違いなく)