鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

つい読んでしまうんですよ。:読書録「明日、機械がヒトになる」「人工知能の核心」

・明日、機械がヒトになる  ルポ最新科学
著者:海猫沢メロン
出版:講談社現代新書Kindle版)


人工知能の核心
著者:羽生善治NHKスペシャル取材班
出版:NHK出版新書

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)


この手の本は「ちょっと追いかけすぎかな?」と思わなくもないんですが、つい手に取ってしまいます。今回のキッカケは「そして、暮らしは共同体になる」かな?そっから一連の将棋協会の騒動のことが頭にあって、羽生さんの新作…って流れです。
まあこれだけ明確に世の中が変わっていきそうな「気配」があるんだから、興味を持つこと自体は悪いこっちゃないとは思いますけどね。


海猫沢めろん氏の作品は、人工知能に限らず、最近の人間に接する科学周りの状況を自分で調べて整理してくれています。
「生物が機械化し、機械が生物化しているのではないか?」「人間と機械の境界はどこか?」
そういう疑問から、「SR」「3Dプリンタ」「アンドロイド」「AI」「ヒューマンビッグデータ」「BMI」「幸福学」の7分野について、その先端を走る科学者とのインタビューを収めています。
不勉強ながら僕はこの「梅猫沢めろん」という小説家を全然知らなかたんですが(失礼)、全くの素人という風ではないながらも、読むものにわかりやすく話しを引き出してくれているのは大したものと思いました。
知ってることも少なくなかったけど、「へぇ」って感じ結構ありましたからね。
「受動意識仮説」を結構みんな自然に受け入れてる感じがあるあたり、「変わりもんっちゃあ、変わりもんやな、みんな」とも思いましたがw。
(僕自身は「自由」意識についてはあまり肯定的ではありませんが、「選択」をする意思はあるという立場です。それ自体が環境に影響されることも確かですがね)


羽生さんの作品は「天使か悪魔か」というNHKスペシャルを受けての作品。「人工知能(AI)の現状」について語っています。
将棋ソフト事件なんかもあったんで、羽生氏の人工知能に対するスタンスが興味深かったんですが、(早くに人工知能が人間に勝つことを想定してたこともあり)「あるものは受け入れるしかないし、それを前提に『どう付き合うべきか』を考えるべき」という「大人」のスタンスw。
それしかないっちゃあ、ないんですがね。
読みどころは、「一流の将棋指し」という視点からの洞察。
「一芸に秀でた人は、何事にも深い視点を持っている」
というのは良く言われることですが、その「実際」を見せてくれる感じです。
将棋協会では色々あたけど、将棋界のトップに立つ人物のこういうバランスのとれた深いスタンスは、ある意味「安心感」があります。
それで「将棋の未来は安泰」とは言えないんですけど、それは他の職業だって同じですからね。
人工知能も間違うのだ」
という認識を社会としてしっかりと持つ必要があるっていうのは、今後のAIの実用化の流れの中で、確かに落としちゃいけない視点だと思います。


しかしまあ、これからどうなりますかね。
二冊を読んでわかるのは、
「確かに技術(AI)はドンドン進んでいるけど、決して万能ではなく、色々なハードルはまだまだある」
ってこと。
特に「ヒト」的な判断や接触にはまだ時間がかかりそうです。
その一方で目的を明確化した「機能的」な面では相当な進歩があるし、その速度も速いのも事実。
ここら辺のバランスがどういう風に「実社会」「ビジネス社会」等に反映してくるか、ってところでしょうか?


僕自身はポジティブにそれを受け止めてるつもり。
でも色々ハレーションはあるんでしょうね、これから。