鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「進捗」!:読書録「マネジャーの最も大切な仕事」

・マネジャーの最も大切な仕事 95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
著者:テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー 訳:樋口武志
出版:英治出版

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力


もうちょいマネジャー業をやらせていただけるようなのでw、「改めてお勉強」のつもりで読んでみた本。
こういうのは折を見て「気づき」を得るために読むもんだと思ってるんですが、予想以上に本書は「良い本」でした。
ベースとなるのは3業界、7企業、238人に対する1万2千の日誌調査。
データの母数としては「少ないかな?」と思わなくもないんですが、今までの拙いマネジャー経験からも「納得感」のある内容でしたね。


ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」と言うのがありますよね。
<関係の質>から始まって、<思考の質><行動の質><結果の質>と来て、それが<関係の質>にFBすると言う、アレです。
ある意味、本書はその起点となる「関係の質」を如何に作っていくか?という風に考えてもいいかなと思いました。
<感情><認識><モチベーション>の3要素の相互作用を「インナーワークライフ」と呼び、これを向上させることが、組織と個人の創造性や生産性を高めるのに最も有効と言うのが本書の主張ですが、この「インナーワークライフ」を向上させるためにマネジャーは「関係の質」を高めなければならない…とも読めますからね。


具体的に本書が「インナーワークライフ」を高めるために重視するのは「進捗」です。
<小さくとも「進捗」していることを見つけ、育み、メンバーに上手くフィードバックすることで、メンバーの「インナーワークライフ」は向上し、組織の生産性は上がる>
<組織や社員を管理するのがマネジャーの仕事ではない。「やりがいのある進捗」をマネジメントするのがマネジャーの役割だ>
本書のポイントを一言で言えばこんな感じでしょうか?
そのポジティブなインナーワークライフのためにマネジャーは、仕事をサポートする「触媒ファクター」と、人をサポートする「栄養ファクター」を供給するようにしなければなりません。
ネガティブなインナーワークライフは「障害」によって生じ、それは「阻害ファクター」や「毒素ファクター」によって育まれてしまう。
この「ポジティブなインナーワークライフ」と「ネガティブなインナーワークライフは」の有り様が具体的に日誌に記されていて、その臨場感が本書の特徴にもなっていると思います。


正直言って、結構「耳が痛い」ことも「思い当たる」こともありましたよ。
「メンバーを褒めることの重要性」ってのはコーチングなんかでも学んでいることですが、それを「日々」に落とした時、どこまで意識出来ているのか?
むしろ自分がやってることって、「阻害ファクター」や「毒素ファクター」に通じるんじゃ…。
マジで考えさせられ、反省させられています。


本書では数年前まで業界を牽引するようなイノベーティブな会社が、ネガティブなインナーワークライフに覆われ、ついには「破綻」する姿が描かれています。
歯車が逆回転し、弾みをつけて組織が崩壊していく様は恐ろしくなるくらいです。
ビジネスや社会が変化する中で、ちょっとした歯車のズレが取り返しのつかないことを招いてしまう可能性もある。そのズレにいち早く気づくためにも、「日々の進捗」を重視する意義はあるのかもしれません。


本書には「チェックリスト」もあって、「進捗」に注目しているか、「障害」を生み出していないか、を確認できるようになっています。
それを自分のスマホのメモに貼り付けて、折に触れて見るようにしようかな…と思ってるところです。
それが僕のまずは「進捗」w。