鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

映画よりTVシリーズ向きの原作:読書録「ファミレス」

・ファミレス<上・下>
著者:重松清
出版:角川文庫


もともと「面白そうだな」とは思ってたんですが、映画(「恋妻家宮本」)を観て、ちょっと腑に落ちないところもあったので、週末に読んでみました。
いやぁ、面白くも、「ドキッ」とさせられる小説でしたなぁw。(アラフィフ夫婦の危機を描いた小説ですから)


映画の方はもともと「原作を大胆に脚色した」というのは聞いてたんですが、確かに相当変わってます。
小説の方は主人公と同様にアラフィフの中年男性が他に二人登場してて、それぞれの「夫婦」のあり方が描かれるとともに、彼らを振り回す母娘を配して、ドタバタ・コメディになってます。
ここら辺の登場人物は映画ではカット。
<主人公夫婦+主人公が受け持つ中学生の家族の物語>
に焦点が当てられ、コメディ色も原作より抑えたものになってます。


まあ、この原作のままやってたら2時間程度の映画じゃ収まりません。それをやるならTVシリーズ並みの尺が必要。
そういう意味では映画化における「大胆さ」は必要なものだったとも言えるでしょう。
もっともそのために肝心の受け持った男子学生家族の物語のところが、なんか「ご都合主義」的になっちゃってるんですけどね。
ここら辺は原作の方が納得感のある流れになっています。


じゃあ、映画がダメか…っていうと、そうでもないんですよね〜。
阿部寛が演じた主人公は、映画の方が良いと思います。
原作の主人公は最後までどっか「プライド」を抱えていて、それはそれでリアリティがあると思うんですが、映画の阿部ちゃんの、一歩踏み込んだ寄り添い方を妻(天海祐希)にする姿の方が、「いいな〜」と感じたわけです。
我が身を振り返れば、原作の中年男どもにも届いているかどうか、甚だ怪しいもんでもあったりするわけですがw。


阿部寛天海祐希コンビでTVシリーズ化してくれませんかね。
もちろん脚本は遊川和彦
これが一番観たいな…というのが原作を観ての感想でした。
無理かな〜。