鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

阿部・天海の夫婦は味がある:映画評「恋妻家宮本」

ドクター・ストレンジ」と続けて観て、なんだか「脚本」について考えさせられました。
本作は「家政婦のミタ」や「女王の教室」の遊川和彦氏の初監督作品。
当然脚本もご自身で…ですから、「脚本」が描きたかったのは、こういう物語なんでしょう。
…でも、そこが「弱い」ように思うんですよね〜。



「恋妻家宮本」


役者陣はいいんですよ。
阿部寛/天海祐希の夫婦は「雰囲気」出てます。
「50代、子供が独立して、二人きりになった夫婦」
戸惑いや不安を抱えながら、それでも「繋がっている」「繋がっていようとする」夫婦の姿がよく出てると思います。
ま、この二人の掛け合いを見るのは、本作の「楽しみ」でしょうねw。


他の役者陣、
菅野美穂富司純子相武紗季、子役も含め、なかなか充実しています。
遊川氏は「初監督」とのことですが、「監督」としてはかなり手堅い手腕を見せてるような…
と、観てきて、本作のクライマックスシーンの一つ。
「正しさより優しさ」
というテーマが描かれるシーンになって…


ここが個人的には全くダメ。
主張には100%賛同です。
「正しさ」や「正義」の暴力性や不寛容は現代における極めて重要なテーマだと思っていますし、そこに敢えて「優しさ」という、「弱さ」にも通じるような概念をぶつけてくることは、それがそれで納得できるんですよ。
納得できるんだけど、それをどう描くかという点で…。


マーベルはじめ、ハリウッド映画の場合、そのシステマチックな製作システムの弊害は確かにあると思うんですが、ここ数年、シナリオのレベルはすごく上がっていると思います。
「辻褄が合わない」ことは山ほどあるw。
でも「世界観」を壊すような展開にはならないように、かなり念入りなチェックと練り直しが求められているように思うんですよ。ディズニー/ピクサー、それにマーベルのような大作映画は特に、ですね。


そういう観点から言うと、この「テーマ」に関わる物語の部分は、脚本の「独りよがり」に近くなってるんじゃないかなぁ、と。
あるいは日本映画の「概念を噛み砕いて物語に織り込まずに、そのまま出してくる」と言った、妙な癖が出てきてると言うか…。


役者陣はホントいい感じを出してくれてるんですよねぇ。
それだけに肝心のところの展開でひどく落胆させられてしまいました。
もしかしたら僕の「独りよがり」の感想なのかもしれませんがw。