鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「評論家はイラン」…?:読書録「何者」

・何者
著者:朝井リョウ
出版:新潮文庫

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)


読むつむりはなかったんですが、妻のオススメで。


つもりがなかったんで、結構映画のネタバレ評なんかも読んじゃってたので、終盤の展開も含め、割とネタは読めちゃってましたが、それでも面白く読めました。
最後の展開があんな感じだとは思ってませんでしたし。
(でもアレは相手もどうかと…)


就活における二面性(面接用の顔と本来の自分)
SNSの二面性(リア充を演じる自分と本来の自分)


ここを重ねながら、ツイッターの裏アカウントを絡め…ってのは、よく出来た仕立て。
作者自身が経験者だけに、就活の欺瞞性みたいなものや、翻弄される姿がビビッドに描けてると思います。
(採用する側も少しわかる身としては、言いたいこともないじゃないけどw)


「観察(評論)するだけで、自ら飛び込まないものは、行動するものを批判する資格がない」


と言うテーマとも取れるけど、より本質的には「裏切り」がテーマかも。
他人だけじゃなく、自分に対してもね。
(そう読むとラストはチョット甘いかもね)


…ってな批評もし辛い小説ではありますなw。
「読んでるだけ」なんですから、コチトラ。


個人的にはネットとの距離感が興味深かったかな。
僕はSNSツイッターも「ライフログ」に近い感覚で使ってるけど、それでも確かに「見せない」ものはありますからね。
まあネットは基本的に
「満員電車でのちょっと大きめの声での会話」
と思ってますので。


それでも「演じる」と言うのとは少し違う部分があって、「意識的な自己形成」を自己開示を通して意識してると言うか…。
ま、そこまで意図的じゃないのも事実ですがw。


SNSも一時ほどの使われ方はしてないと思うんですが、ここら辺、どうなって行くのかなぁ。
そう言う意味でのある種の「時代の証言」としては本書が読まれる日がいずれ来るのかもしれません。


ようワカランけどw。