鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「音楽」ネタの物語は好きなんですよ、基本的に。:読書録「シャドウ・ストーカー」

・シャドウ・ストーカー<上・下>
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文春文庫(Kindle版)

シャドウ・ストーカー 上 (文春文庫)

シャドウ・ストーカー 上 (文春文庫)

シャドウ・ストーカー 下 (文春文庫)

シャドウ・ストーカー 下 (文春文庫)


リンカーン・シリーズと並行して発表しているディーヴァーの「キャサリン・ダンス」シリーズ3作目。
新作の「扇動者」が出たところで文庫化されたのを購入。
単行本が出た時にも「どうしようかなぁ」とは思ってたんですが、なんとなく買いそびれてました。「ディーヴァーは、まあリンカーン・シリーズでいいかな」って気分もありましたしねw。


主人公にキャサリン・ダンスは「人間嘘発見器」として、相手のボディーランゲージなんかを解読するスキルを持ってて、それを武器に事件に対峙するんですが、もう一つ、「音楽」にも深い造詣があって、アメリカ各地の埋もれたミュージシャンの演奏を録音してネット販売するような「副業」も持ってる…って設定。
ここら辺、作者自身の「趣味」にも関わる部分があるようで、本作はそこにバッチリはまってて、事件は若い女性カントリーシンガーをめぐるストーカー事件、でもって、その架空のシンガーの「アルバム」まで作っちゃってる(ネット配信が実際にされてるとのこと)と言う、なんとも凝った作品になってます。


ストーリーは相変わらずの「ジェットコースター」ぶり。
「ディーヴァー」印を裏切らない水準の出来だと思いますが、個人的にはそれ以上に「音楽」を巡るアレヤコレヤが面白く、興味深かったですね。(業界話やアメリカ音楽史、あるいはミュージシャンの振る舞いやスタッフたちのプロフェッショナルぶり等々)
そう言う意味じゃ、ラストの女性シンガーと「父親」との対決は、もっとジックリよませて欲しかったような気も…。あそこにはディーヴァー自身の「音楽業界」論が込められていると思いますから。
そしてそれを踏まえての、女性シンガーの「決断」にも…。


今回、本作をよみながらBGMはSpotifyの「カントリー」のプレイリスト(「今」のね)にしてみました。
「カントリー」と言うと、「ウィリー・ネルソン」から更新されてなかったんですがw、相当アップデートされてるんですなぁ。結構、こっちはこっちで面白かったです。


物語的には「次」への「引き」もしっかりあり、次作(「扇動者」)ではそこも焦点になっている模様。
さて、どうしたもんですかね。