鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

こりゃ、面白い:読書録「いま世界の哲学者が考えていること」

・いま世界の哲学者が考えていること
著者:岡本裕一朗
出版:ダイヤモンド社Kindle版)

いま世界の哲学者が考えていること

いま世界の哲学者が考えていること


<「たったいま進行しつつあることは何なのか、われわれの身には何が起ころうとしているのか、この世界、この時代、われわれが生きているまさにこの瞬間はいったいなんであるのか」>


これはフーコーがカントについて語った論文の一節とのことです。
「哲学」ってのは正にこういうモノ。
「そうだよな」
と思う一方で、気がつくと安易な/難解な「人生論」や、過去の哲学者の「考え」や「言葉」を振り返ることを「哲学」と思い込んでるところがないか…。
う〜ん、確かに。
それらが確かに「今」を問い直すのに役立つことがある一方で、「彼ら」が知らなかったことも「いま」にはある。
カントどころか、フーコーでさえ、「スマホ」なんか想像もできんかったでしょうからねw。


というわけで、本書は「現代」のいろいろな「問題」について、「現代の」哲学者・思想家たちがどんな風に議論しているかを解説してくれる本です。
取り上げられてるテーマはこんな感じ。


IT革命
バイオテクノロジー
資本主義
宗教
環境問題


もちろん先人たちの思想を下敷きにしてる部分も少なくありませんが、それらを踏まえた「現代」の思想家たちの議論が、中立的な立場から紹介されています。
ま、どれも「正解」の」ない世界。
でもだからこそ「哲学」的と言えるんじゃないですかね。
ニーチェの言葉」も面白いし、刺激にもなりますw。
でもガッツリ「時代」と向き合った人たちの「あーだこーだ」に触れてみるのは、もっと刺激的で面白い。
手に取る前の予想を超えて楽しませてもらいました。


それぞれのテーマは同時に「政治的」でもあります。
そういう意味では「政治家」こそ、こういう議論のベースを知識として知っておくべきではないでしょうかね?少なくとも「白紙領収書の発行の仕方」を議論するよりはw。
その「見取り図」としてもスゴく参考になる一冊だとも思いました。


「役に立つ」かどうかは別にして、ねw。