鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「牧歌的」かな?:読書録「フェッセンデンの宇宙」

・フェッセンデンの宇宙
著者:エドモンド・ハミルトン 編訳:中村融
出版:河出文庫

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)


「BISビブリオバトル部」シリーズでの紹介本。SF好きのヒロインのアイデンティティに絡む重要な位置付けの作品になります。
作者は「キャプテン・フューチャー」の「エドモンド・ハミルトン」。
元「スペースオペラ」好きとしては、読まずにいられません。(って、本当に「スペースオペラ好き」なら、「読んどけ」って話ですがw)


まあ、「古き良きSF」って感じですかねぇ。
30年代から60年代の作品ですから(「キャンプテン・フューチャー」は40年代)。
ハミルトンが「アイデアマン」だというのがよくわかる一方で、「現実」が「フィクション」を追い抜いてしまい、そのアイデアの多くが「古臭く」あるいは「ファンタジー」に見えてしまうところがあります。
現代SFがマイナーなのは、やっぱりこういうところにあるんじゃないですかねぇ。
技術や科学、発見されている法則なんかが進みすぎて、「その先」を描こうとすると、どうしても「小難しく」なっちゃうというか…。
本作に納められた作品はどれも楽しめるんですが、「昔の作品」というフィルターがって許容できるものの、「現代の作品」としてはやっぱり古臭すぎるでしょう。
楽しめたんだから、それでいいっちゃあ、いいんですがw。


一番面白かったのはやはり「表題作」。それも50年版の方ですね。
あとは、
「向こうはどんなところだい?」
「追放者」
「世界の外のはたごや」
ちょっとペシミスティックなところがある作品が多いのは、ハミルトンの「作風」でもあるし、そこに「現代性」が感じられるからかもしれません。
やっぱり今更「キャプテン・フューチャー」を読み直すのはちょっとしんどい気がしますからねぇ。
「夢の舟乗り」は名曲だけどw。