・虐殺器官
著者:伊藤計劃
出版:早川書房(Kindle版)
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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作者が若くして亡くなったのも、本作や「ハーモニー」が非常に高い評価を受けているのも知っていました。
で、だいぶ前にAmazonで購入し、DLしてたんですが、なんとなく読みそびれ…。
それが「ビビビ・ビ・バップ」が面白かったんで、なんとなく「SFモード」になっちゃって、ようやく読みました。
…えらい、タッチの違う作品やったけどw。
「死」と「暴力」を巡る物語。
…とでも言えばいいのかなぁ。
一人称で語られる物語は、時に内省的になり、時に哲学的になり…
正直言うと、「青いなぁ」って思うところも少なくなかったですね。「敵役」、そして「主人公」の「選択」も、なんだか「理念先行過ぎる」と言うか。
分からんではないんですけどねぇ。
個人的に一番気になったのはSF的設定のアンバランスさ。
「人工筋肉」がここまで世界に浸透しているのに、社会の基本的な構図は結構「現代」に近い。確かにセキュリティやIDの厳しさや浸透度合いには「未来社会」っぽいところがあるんですが、そうは言っても現在からの「延長線」って感じです(ここら辺は9.11につながっているので、当然ではあるんですが)。
それに比して「人工筋肉」が現在からかなり隔絶した技術だと思います。それがここまで社会に入ってきているのであれば、もっと「未来」の絵姿は「SFチック」になってもいいんじゃないかなぁ、と。
まあそうなると作品のテーマがそれちゃうから、あえてそこら辺の「未来感」は抑えたのかもしれませんがね(描写されている技術には相当う進んだものがたくさんあります。あくまでそれらの総体としての「社会」の描写が、ってことです)。
「ハーモニー」
「屍者の帝国」
あたりですかね。他に読むとしたら。
面白いことは面白いんですよ。
どーしよーかなぁ。