鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読み応えあり。:読書録「戦争まで」

・読書録「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗」
著者:加藤陽子
出版:朝日出版社

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗


前作も刺激的な良作でしたが、これまた読まされました。
「8月」に読むのに実に相応しい作品かと。


第二次大戦に向けて、日本が世界に向かって判断し、洗濯した「3つの契機」=「リットン調査団」「三国軍事同盟」「日米交渉」について、史料を丹念に調べた上で、その「選択」の根拠を論じています。(「結果」は「開戦」であり、「敗戦」です)


僕自身は「改憲論者」です。
しかしながらそのベースにはしっかりとした議論がなされるべきであると思っていますし、「議論」の前提としての「事実関係の認識」が非常に重要だと考えています。
戦後70年。
改憲が語られるようになったのは、同時に冷静に「事実関係」を見つめる契機にもなってるのではないか、と。
「客観的」というのが「神の目」だとしても、そこに一歩でも近づくべき「努力」はすべきだと思いますし、本書なんかはその「努力」の一環なんじゃないですかね。
改憲論議は、本書で作者が引用するルソーの視点「戦争は、相手国の憲法にまで手を突っ込んで、それを書き換えるもの」を考える必要はあるでしょう。「敗戦」という事実をどう評価し、それが今、「どこまで」洗い替えが可能なのか、という点において)


太平洋戦争の経緯については、
「あれは陰謀だった」
「止むに止まれぬものだった」
「愚か者の選択であった」等々
色々な見方があるでしょうが、本書を読むと、結構ギリギリに至るまで「開戦」を避けれないかとの双方での交渉努力が重ねられてたことが分かります。(日本側の暗号解読能力についてはあまり知りませんでした)
それでありながら、最後の最後で「見込み」を誤り、「開戦」という道を選んでしまう。
それが「敗戦」(しかも決定的な)につながった以上、為政者としては悔やむべき選択でしょう。
「相手がどーのこーの」
ってのは為政者としては絶対に言うべきではないセリフです。


それでも一定の時が経ち、こういう「事実関係」を分析する作品が一般向け(本書は中高生向けの講義を書籍化しています)に出版されるてことは良いことでしょうね。
本書&前作、それに「失敗の本質」は政治家をはじめとする政府関係者は絶対に読むべき作品でしょう。それを踏まえた上で「次世代」を考えることが、絶対に必要です。(「言論封殺」が、いかに日本の選択を狭め、過たせたかも含め)


本書を読んで改めて前作(「それでも、日本人は『戦争』を選んだ 」)を読み直したくなったんですが、Kindleをみたら同じ作者の講談社新書(「戦争の日本近現代史 」)が安くなってたので、そっちを読んでみることにしました。
近現代史」は今こそ触れるべきタイミングになりましたね。