鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

国家間のせめぎ合いと陰謀の世界へ:読書録「蒼路の旅人」

・蒼路の旅人
著者:上橋菜穂子
出版:偕成社


<バルサをめぐる物語を「守り人」の物語として書き、チャグムのような少年が、国と国とをめぐる複雑な状況の中で、みずからの道を探しながら歩んでいく物語を「旅人」の物語として書いてみたい>(あとがき)


そこに本格的に踏み込んだのが本書、ってとこでしょうか?
「虚空の旅人」で助けたはずの「サンガル」に裏切られるところからスタートする辺りが、すでにそんな感じ…w。こういうところはシビアなんですよね、上橋さん。


ま、一番のターニングポイントは「帝」でしょう。
チャグムを暗殺しようとした過去を持ちながら、なんとなく人物像としては漠然としていたこの人物が、いきなり「陰謀」の中心人物として前に出てきます。
出てきた途端に「悪役」バリバリって感じw。
「乗り越えられる父」ってのは、こうじゃなくちゃね。


キャラクターとしては密偵の「ヒュウゴ」が渋くて良いキャラ。
「外伝」がかかれていますから(「炎路を行く者」)、作者も気に入ってるんでしょう。「ジグロ」に並んで、大人向けキャラって感じです。


さて「正篇」はあとは「天と地の守り人」のみ。
ま、三部作ですがw。
読むなら一気だよねぇ。
さて、いつ手を出すか…。