鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

結局は「人」:読書録「人工知能は敵か味方か」

・人工知能は敵か味方か パートナー、主人、奴隷ー人間と機械の関係を決める転換点
著者:ジョン・マルコフ 訳:瀧口範子
出版:日経BP社(Kindle版)

人工知能は敵か味方か

人工知能は敵か味方か


なんとなく思い込みで、人工知能がらみの「最前線」を教えてくれる作品と思ってました。作者がジャーナリストってのもありますかね。
でもどっちかっていうと「歴史書」。
それも事実関係を追うというより、「人」に焦点を当てて、その人の個人史と人工知能やロボットとの歴史を重ねるようなスタイルです。
おかけで、ロシアの小説を読んでるみたいに山ほどのカタカナの人の名前が出てきて、それがアッチとコッチで交錯したり、時系列が遡ったり…


いや、正直「全体像」が掴めたとは到底言えません。(理系的知識も不足してるから、なおさらw)
でもおぼろげながらわかったのは、
「結局は『人』なんだな」
ってこと。
作る側も使う側も「人」。
それ次第で「未来」は変わっていくし、決まるのだ、と。


本書の基本的な問題意識は、
<人間を生み出すシステムによって人間を拡張するのか、それとも人間を代替するのか>
<システムをコントロールするのか、システムにコントロールされるのか>
それをAIやロボットなどの開発者たちの個人史やスタンスを論じつつ、そこにある混乱やパラドックスも明らかにしながら「現状」を浮かび上がらせています。
「現状」の一つの到達点が「Siri」。
それをめぐるスティーブ・ジョブズの登場は、やはりドラマチックで、この世界のヒーローであることを再確認です。(もちろん彼は「拡張派」)。
僕の好きな映画「her」への言及も結構あるのが、なんとなく嬉しくもありますw。


僕自身は「拡張派」だと思ってますし、その点において「どんどん技術を進めていくべき」と考えています。一定のハレーションや「置き換え」(失業)は起きるでしょうが、それも「個人」のエンパワーメントによって新しい着地点を見つけるだろうと楽観してます。
…っていうか、止めようと思って止まりますかね、これが?
それこそ「楽観主義」なんじゃないか、と。
物事が進んでいくのを冷静にフォローしつつ、「有り様」を模索していく中でこそ現実的な「解決」を乱すことができるのではないか、というスタンスですね。その全てが「暫定的」でしかないにせよ。


とか言ってると、「スカイネット」にやられちゃうのかなぁw。
それはそれで嫌だけどねぇ。