鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ハルキ版「バナナブレッドのプティング」:読書録「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

・色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
著者:村上春樹
出版:文藝春秋(Kindle版)


「羊をめぐる冒険」を電子書籍で読み終えた後、
「そう言えば、文庫化されたときに一緒に電子書籍になったのをDLしてたような…」
と思い出しました。
長編としては最新作。
デビューからの連作から、一気に飛んで再読…ですw。


まあ「自意識過剰」な物語は相変わらず。
クロ(エリ)との再会のシーンは、村上春樹版「バナナプレッドのプティング」さながらw。
でも作品としては、シロ(ユズキ)の顛末に「深み」があるんでしょうね。
「羊」につながる、「悪意」の存在という意味で。


単行本が出た早々に読んでたので、その後の書評なんかにはあまり目を通してなかったんですが、「推理小説」として本作を読んだりしてる書評もあって、これはこれで「なかなか鋭いなぁ」と思いました。
「沙羅」が実は「柚木の姉」とかね。
http://sonhakuhu23.hatenablog.com


でもまあ、そこまで深読みするべきなのかどうか。
作者がどう考えてるかは知りませんが、これはこれでそこまで深読みしなくてもイイんじゃないでしょうか。
改めて読んでみて、初読のときより楽しめたし、考えさせられもしましたよ。もちろん「エリ」との再会がヤマなんですが、今回は「アカ」と「アオ」との再会にも感じるところがあったりして。


投げ出したようなラストですが、その意図はわかりつつも、「続き」が気になります。
…というか、多崎くんの「未来」を信じたい。
ま、「1Q84」と違って、続編があるような話ではないでしょうがねw。