鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

文体です:読書録「コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。」

・コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ 1960ー1973
著者:片岡義男
出版:光文社

コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。

コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。


<著者初の書き下ろし自伝「勤労」小説>


いやぁ、「勤労」って言われても、入社3ヶ月で会社辞めてからは、喫茶店で原稿書いたり、スナックで飲んだりってばっかりなんですが…
ってな感じの小説ですw。


でも面白かったですよ。
角川文庫に赤い背表紙がズラ〜っと並んでた頃は、
「けっ!スカしやがって」
と思ってたんだけどw、いつの間にやら好きな小説家になってました。
結局、「文体」なんですよね。
赤提灯やスナックで飲んでてても、アパートで洗濯を取り込む女性を眺めてても、スタイリッシュな「何か」を感じさせるってのは。
そして片岡義男の文体ってのは、決して器用な感じじゃない。
むしろ描写に対しては「誠実」。
それがこういう世界観につながるのが、個人的には面白いんですよ。


本書には物語に登場する音楽の、121枚のレコードジャケットが収められています。
最初はそれを一つずつAppleMusicで探して、聴きながら読もうかとも思ってたんですが、結局少し後の時代のロックの名盤(ディラン、ビートルズ、ドアーズあたり)を聴きながら読み終えました。
ちょっと「潮来笠」や「カスバの女」じゃ、気分が違うような気がしてw。
まあ、「いい感じで読めたなぁ」とは思ってますが、もしかしたら意外に「潮来笠」でも…。
AppleMusicにあるかどうかは、知りませんがねw。