鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

うん、面白い:読書録「戦略が全て」

・戦略がすべて
著者:瀧本哲史
出版:新潮新書

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)


「僕は君たちに武器を配りたい」の著者による時事評論。
作者の弁によれば、<時事評論の形を借りた、「戦略的思考」を磨くためのケースブック>ですかね。
「僕は君たちに〜」を読んだときの印象ですと、「バリバリの新自由主義者」「資本主義原理主義者」って感じなんですが(まあずいぶん前に読んだので、記憶が曖昧になってる可能性もありますw)、同時に、
「切れ者やなぁ」
って印象も強くあります。
本書についても同様ですね。実に論理的かつ明快に分析してくれてます。気持ちいくらいにw。


個人的には最初の章の「プラットフォーム」ビジネスと「ブランド」について、「AKB48」「鉄道会社」「五輪招致」を実例としてあげながら論じたところが一番興味深かったです。
ブランド論っていうのはいろんなところで過去も現在も語られていますが、ビジネスプランという視点からは、確かに「プラットフォーム」という考え方と一番親和性があるんじゃないか、と。
少なくとも安易な「ブランド」便乗による多角化よりは、ですね。
ビジネスモデルとして「プラットフォーム」を磨き上げていく中で「ブランド」を作り上げ、その「ブランド」を高める方向性で、「プラットフォーム」を進化させていく。
「ブランド」をプラットフォームというビークルに乗るイメージでとらえ、その相互作用を重視するってのは、結構「使える」考え方なんじゃないかなぁと個人的に思った次第。
ま、今の自分の「興味」がそこらへんにあるからってことかもしれませんがw。


第2章が「働き方」や「人材論」、第3章が「イノベーション」、第4章が「情報化社会」、第5章が「教育」、第6章は「政治」。
第2章は「僕は君たちに〜」に重なる感じもありますかね、
第4章・第5章あたりは、ちょっと「お」って感じもあったかな?
「教養」を重視するあたりや、「G大学・L大学」論への評価のとこなんか。
「東大・京大」偏重のスタンスには「身も蓋もない」って感じもありますがw。


「論理的」っていうのは、実は「誰にでも通じる」ということで、極めてベーシックなスタンスです。
という意味で、この作者の論評には納得感がすごくありますね。そこが「気持ちいい」。
だからいろいろな時事的事象を取り上げて、作者が論理的かつ明快に「切りまくる」のは実に面白かったですよ。
じゃあ、その方向に世の中が動いていくか、っていうと、そうでもないところが何とも言えないんですがねw。