鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

プレイヤーだから許される「ぬるさ」が面白い:読書録「ジャズとエロス」

・ジャズとエロス ヴァイオリニストの音楽レシピ
著者:牧山純子
出版:PHP新書

ジャズとエロス (PHP新書)

ジャズとエロス (PHP新書)


ジャズ・ヴァイオリニストは、ブルーノート福岡で寺井尚子のライブを聴いて以来、結構好きで、その流れで…
というのは嘘でw、家から単身赴任先に戻る際、新大阪駅で少し時間ができて、そのとき立ち寄った本屋で目について買っちゃった本です。
題名と、帯の色っぽい姿につい…w。


いや、ジャズ・ヴァイオリンは好きなんですよ、本当に。
でもぶっちゃけ、作者のことは知りませんでした。
要はそこまで熱心にフォローしてないってことでもあります。


まあ作者自身が「ジャズとエロス」に思い入れがあるわけじゃなくて、お題は編集者からもらったようですし、
「よく分からない」
と勉強モードに入ったり、対談で相手に教えを請うたり(相手は松尾貴史)…という「エロス」方面にはぬるい仕立ての作品になってます。
そっち方面を期待しても、あまり得るもんはないですなw。


面白かったのは、クラシックを目指してた作者がジャズヴァイオリニストになった経緯。
ありがちといえばありがちですが、「クラシック」と「ジャズ」の違いに戸惑いながらも前に進んでいる作者の姿には好感が持てます。(ちょっと真面目すぎる気もするけど)
「エロス」という視点から語った短評も、僕は楽しみましたよ。
ジャズ評論家やディープなジャズファンだと、もっとどっぷりって感じの路線に行っちゃうか、「知らんがな、そんな人」みたいなニッチな世界の紹介になりがちなところ、程よいメジャー感があって微笑ましいっス。
これは「実演奏家」だからこそ許される「ぬるさ」でしょうかw。


最後にまとめられている。シチュエーション別セレクションにもこの「ぬるさ」は共通していて、メジャーどころに触れつつも、結構ボーカルものを入れつつ、なかなか面白い並びになってました。
ちょっと選んで、Apple Musicで個人的プレイリストを作っちゃたくらいw。
勢いで買っちゃった本ですが、これだけ楽しめれば十分でしょう。
どっかでライブを是非聴きに行きたいところです。


(ちなみに本としてもちょっと凝ってて、QRコードから本文に関係する曲が聴ける仕掛けになってます。
ただ結構面倒臭いw。
紹介されてるのが自分の作品だけってのも、残念。
結局僕は作者の作品をストリーミングで聴きながらフォローしました。
ここまでやるなら、ストリーミングサービスに紹介してる楽曲をまとめたプレイリストをアップすれば面白いのに。
…実はされてたりしてw)