鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

こういう未来が来るといいな:読書録「魔法の世紀」

・魔法の世紀
著者:落合陽一
出版:PLANETS(Kindle版)

魔法の世紀

魔法の世紀


日本のコンピューターデバイス関係の研究者&メディアアーティストの第一人者「らしい」人物による、21世紀のコンピュータ−/メディア未来像。
この手の話だと「AI」がらみの話が多くなってきますが、「ロボットの脅威」同様、「その一歩手前」の話がメインになっています。ま、「ロボットの脅威」が悲観的な未来像への言及が多かったのに比べると、本書の未来像は肯定的。
後半の方になると、個人的には「何言ってるんだかわからんなぁ」って部分も多くなってきましたがw(これは僕の理解力の問題です)、作者の「前向き度合い」はよく感じ取れました。実作者ならでは・・・ってのもあるんでしょうかな。


言ってみれば語っているのは「ユビキタス」が実現化した未来像。
コンピューターデバイスと社会文化や仕組み、ビジネスや教育分野にまでIT技術が入り込んできていて、シームレスになり、「一体」としての社会が構成される「未来像」って感じでしょうか。
行くとこまで行っちゃえば「攻殻機動隊」ですわw。


見方によっては「怖い世界」。
「ロボットの脅威」や人工知能への警鐘を鳴らす作品などのスタンスから見たら、「こんなところに積極的に突っ込んでいくのは危険」ってことかもしれません。
でも、それらの作品が暗に言ってるように、
「この方向性を逆転させることはすごく難しいし、現実的ではない」。
だとしたら少しでも「いい方」に未来が向かうように、積極的に技術を開き、社会全体で関与しながら、リスクを顕在化させていくことでリスク回避を図るべき・・・っていうのが僕のスタンスです。
だから作者が目指す世界は僕にとっても「望ましい」方向性と言っていいと考えています。


一昔前だと「マイノリティレポート」。
最近だと「her」がそうかな。
ああいう近未来SF映画で描かれた新しい技術が日常生活に組み込まれた世界観を見るのは僕は好きですね。
そして今から見たら「マイノリティリポート」の技術のいくつかは古臭くさえ見えるくらい(ガラスの記録体とか)、「想像」の世界さえアップデートするほど技術の進歩は急速です。
その実現された世界が「魔法」となるのは、「夢物語」とは言えないと思いますよ。


まあ「ブレードランナー」や「マトリックス」のような「ディストピア」が来ないとは確かに言えませんがね。
そういう意味じゃ「ブレードランナー」の続編はどんな世界観を描いてくれるんでしょうね?
でも「停滞」がありえないとするならば、積極的にその「変革」を楽しみたいじゃないですか。
少なくとも僕はそう思っています。


もっとも、知識的にどこまでついていけるかは、なんとも言えませんがねw。