鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

予想外のヘビー級:読書録「戦場のコックたち」

​・戦場のコックたち
著者:深緑野分
出版:東京創元社

戦場のコックたち

戦場のコックたち


「特例の領域で、プロフェッショナルが推理力を働かせ、いくつもの謎を解決する連作短編」
まあ「教場」に似た感じかな…と思ってたんですが、全然違ってましたw。
比重は「戦場の」のところにあるんですね。
作品としては確かに連作推理物なんですが、作品としては「戦争青春小説」と言った趣があります。


ノルマンディーから終戦まで。
最初は人に銃を向けることにさえ躊躇するようなフツーの青年だったのが、


<…戦争じゃないか。一般人を殺しているのはお互い様だろ。敵を殺して何が悪い?生き残っとた者が勝つ、それだけだ>


といった心情に至るまで、やりきれない描写も少なくありません。
日本人の作者ですからね。
実によく調べて書き込まれていると思います。翻訳物と言われても通じるんじゃないかなぁ。


まあ、もっともラストのエピローグは「日本っぽい」とも言えるかもw。
甘くはないけど、センチではあるって切り口。
僕は好きですけどね。