鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

これくらいがちょうどいいかな:読書録「桜ほうさら」

・桜ほうさら<上・下>
著者:宮部みゆき
出版:PHP文芸文庫

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)


本作を読む前に、話題作「ソロモンの偽証」を読もうと思って手を出したんですが…。
1巻の半ばで挫折w。
いやぁ、長過ぎますよ。しかも結構「深刻」だし。
「宮部みゆき」作品については、「軽いように見えて、実は深い」ってのが特徴といってもいいと思うんですが、それにしても最近は「軽さ」が後退して、「深み」の度合いが深まってるような気がします。
しかも「長い」。
そこまで没入する「時間」も「気力」もなくなってきてるこっちの事情もありますがねぇ。(電子書籍化してくれないって事情も、個人的には影響していますが)


本作も「上下二巻」の長編ではあるんですが、内容としては4作の中編連作みたいなとこもあるんで、「読み疲れ」したりせずに済みました。ま、以前から宮部作品は「現代物」より「時代物」の方が好きなんですがね。


本作の特徴は「解説」で書評家の青木逸美さんが上手くまとめてくれています。
1 主人公は英雄じゃない
2 家族は万能薬ではない
3 ヒロインは跳ねっ返り
4 だれもが幸せになる大団円はない
本作の「深み」は特に「2」にあります。ラストはちょっと「怖さ」を感じるくらいに。
それでいて主人公がたどり着いた心境…ってところについていけるか、どうか。
僕は正直ちょっと微妙でした。
もう少しスッキリさせてくれる方が、個人的には好みですね。この着地点については、それはそれですごく良く分かるんですが。


まあでも、「上手い」のは本当に間違いないです。
これくらいが個人的には丁度いいかなぁ。「長さ」も「深み」も。
「凄み」は多分、「ソロモンの偽証」のほうにあるような気がしますが、今はちょっとそこに手を出す気力が出てきません。
年末年始にも…と思ってたんですが、読むなら他の「時代物」かなw。