鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

結構ためになるよ:読書録「『読まなくていい本』の読書案内」

・「読まなくてもいい本」の読書案内  知の最前線を5日間で探検する
著者:橘玲
出版:筑摩書房(Kindle版)


「新自由主義者」(本当は違うかもしれんけど)橘玲による読書案内。
この手のスタンスの人って、なんとなく斜に構えた物言いをするような印象があるんだけど、この題名もそんな感じがあります。
でも読んでみると、
「学術的な最新知識をベースとした情報を紹介し、最新情報によって『否定された学説』を論じる本を『読まなくていい』と定義している」
ので、割と「まとも」なのではないか、と。
もちろん、最新学説が後の研究で否定されるってことはありうる話で(本書でも「トラウマ」を巡る学説の迷走が紹介されている)、安易な割り切りは問題かもしれないけど、本書での紹介の範囲だと、
「まあ、そうかな」
って感じ。


取り上げられているテーマは以下。
「複雑系」
「進化論」
「ゲーム理論」
「脳科学」
「功利主義」
一番根っこにあるのが「進化」に関する考え方かなぁ。作者の主張の中心は、「功利主義」だろうね。
難しいテーマを取り上げているけど、全体としては分かりやすくて、考えさせられる内容。
そりゃ「我田引水」的な部分も無きにしも非ずではあるけど、トータルとしてはバランスの取れた内容になってるんじゃないか、と。
哲学者やフロイトなんかはケチョンケチョンですがw。
(竹内久美子さんなんかも)


それぞれのテーマには「ブックガイド」が設けられていて、入門書の紹介もあります。
一歩踏み込みたいところについては参考にもできます。


<バブルが崩壊して以来、日本の社会はデフレ不況の長い低迷期に入り、閉塞感に覆われている(といわれている)。(中略)その理由は(中略)日本の社会に「差別」
が深くビルドインされているからだ。>
<なぜこんな差別がいまだに残っているかというと、それによって得をするひとたちがたくさんいるからだ。それは「日本人」「中高年」「男性」「一流大卒」「正社員(終身雇用)」という五つの属性を持つアタマの固いおじさんおじいさんのことで、(中略)日本社会は彼らの既得権益でがんじがらめになっている。>


「五つの属性」
そこまで得してる気もしませんが、少なくとも「アタマ」は固くなってるかも。
という意味で、こういう本を読む意義もあるし、紹介された本もいくつか勉強してみようかなぁと思ってます。
言い返す「力」をつけるためにもね。