鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「黒猫の遊歩あるいは美学談義」

・黒猫の遊歩あるいは美学講義
著者:森晶麿
出版:早川書房(Kindle版)

黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)

黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)


早川書房の100周年記念の広告冊子を見てたら、「第一回アガサ・クリスティ賞受賞」とあって、電子書籍版も出てたので、買ってみました。シリーズ化もされてて、何冊か出てるようですね。


アマゾンのレビューを見たら、結構な悪評が並んでて、曰く、
「謎にも満たないことこねくり回して」
「作者が自負する美的(??)感覚を読者に押し付けてるだけ」
「事件そのものは実に大したことのない話。別に解かなくてもだれも困らなそう」
ケチョンケチョンです(笑)。


でも「その通り」なんですよねぇ。
ホント好き嫌いはハッキリ分かれる作品だと思います。
僕自身はこういうペダンティックなノリは嫌いじゃないです。確かに「謎にも満たない謎」だし、「なんじゃそりゃ」ってのもあるんですがw、そういうのは他でもありますし。例えば京極夏彦氏の京極堂シリーズだって、「たいがい・・・」ってのもあったと思いますよ。
一方で主人公と語り手の関係については、「うーん...」。
続編の評価はここまで「悪評の羅列」じゃないようなんですが、その評とは関係なく、次を手に取るにはチョット躊躇してる、ってのが偽らざる心境です。


個人的意見では主人公を「若くして教授になるほどの天才」って設定にしたのは、ちょっと漫画チックすぎるかなぁ、と。「天才だが、学界からは評価されない」くらいのほうが収まりが良かったような気がします。
それはそれで「型通り」かな?
あと主人公と語り手の距離感が縮まるのも早すぎやしませんかね。雰囲気的には1作目くらいの距離感を維持してる方が良かったように思います。シリーズ連作なら尚更に。


まあでも「賞」をとってるんだから、評価する人はいるわけだし、シリーズ化されたってことはそれなりのファンもついたってこと。
それならそれで良いのですかね。
僕も気が向いたら、「次」を読んでみましょう。
それがいつになるかは、何とも言えませんがw。