鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「日本の未来を考えよう」

・日本の未来を考えよう
著者:出口治明
出版:クロスメディア・パブリッシング

日本の未来を考えよう

日本の未来を考えよう


また読んでしまいました。「出口」本w。
でも今までに読んだ中でもかなり「お役立ち」度の高い作品でした。まじめな話、「息子」や「若手社員」に読んで欲しい!
もう少し早く出版されてたら(9月1日初版発行)、就活本としても最適だったと思います。
まあ翌年になっても「使え」はするでしょうけど、「鮮度」はかなり落ちますからねぇ・・・。


「未来を考えよう」ですが、基本的には日本の「現状」を「数値」から分析した作品です。そういうのって他にもありますが、視点のバランスの良さと、思想的なスタンスの取り方が抜群なのが「出口」本の特徴。
実にクールでそれでいて健全な危機感を、醸成する作りになっています。


視点は以下。


借金編
人口編
カルチャー編
政府と軍事力編
治安編
教育編
国際競争力編
新しい産業編
女性編
インフラ編
環境・エネルギー編


「語り口」の良さとバランス感覚は池上彰氏にも通じるところがありますが、この網羅感は本書の特徴でしょう。
そしてベースとなるのは徹底的に「データ」。
いろいろな考え方やスタンス、ビジョンが世の中にはありますが、そのベースとなるところを本書は提示してくれています。
もちろん出口氏にだって固有の「スタンス」はあるんですが、データに語らせることを出発点にしてるだけに、押しつけがましくないのが良いですね。


個人的に「知らなかったなぁ」ってのはあんまりなかったけど、最後にまとめられた「ドイツとの比較」には「ふーむ」って感じもありました。
個々の切り口の中では知っていたこともこういう風に、まとめられると「国の在り方」という観点で考えさせられます。
人口問題が日本の将来性において非常に「重い」のは間違いないと思いますが、それにしちゃあ、「先延ばしにしすぎ」ってのが今の日本ですかね。
ここら辺が政治的イシューにならないのは、やはり問題でしょう。(安保法制ももちろん重要ですが)


経営者としての出口氏は理想も高く、理念と論理のバランスの取れた尊敬に値する経営者だと思います。
その彼をして、現状の「ライフネット生保」の停滞を想定しえなかったというのは、経済・経営の難しさの顕れでしょうね。(スマホの普及を読み損ねた・・・と分析されていましたが)
それでもビジネスを考える上においては「現状」の分析は不可欠であり、歴史観・理念を等閑にはできない。
その点において、やはり「出口治明」という人物は注目に値すると思います。


ともあれ、「日本」の「今」を考える上において、本書は分かりやすく、ためになる作品なのは間違いありません。
おススメです。