鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「中野のお父さん」

・中野のお父さん
著者:北村薫
出版:文藝春秋

中野のお父さん

中野のお父さん


北村薫、久しぶりの「日常の謎」ミステリー。
<円紫さんと私>シリーズが「文学ミステリー」の方に行っちゃったんで(それはそれで好きなんですが)、出版の予定を知って、早々に予約を入れておりました。
(こういうとこもAmazonは便利なんですよね)


主人公は「体育会系な文芸編集者」。
謎解きをするのはその父で「定年間際の高校国語教師」。
ん?
北村薫って、教師だったんじゃなかったけ?
とすると、このモデルは自分?


...なんて仕掛けくらいはやりますよね、北村薫ならw。
どこら辺までモデルが入ってるのかは知りませんが、話が面白ければ、僕はどうでもいいです。
その「期待」は十分に満たされましたよ。


ま、何作か、「円紫さん」シリーズのような「文学ミステリー」が混じってるのは、お愛嬌でしょうか?(「闇の吉原」「謎の献本」)
出版界を舞台にしてるので「作家」は登場するのですが、基本的には架空の人物。
まあ出版界を舞台にした「日常ミステリー」です。
<円紫さんと私>シリーズにはどこかで人間の「哀しみ」のようなものに触れる傾向がありましたが、本書は(今のところは)そういう傾向はなく、主人公たちは「明るく、前向き」。
言ってみれば「飲めば都」のミステリーバージョン?
最近の北村薫作品の傾向からすれば「軽すぎる」んでしょうが、僕は好きですね。


一応帯には「<本の達人>が贈る新名探偵シリーズ>とありますから、続編は期待できるんでしょう。
このまま「明るく」行って欲しいものです。
(まあ、どうであれ、北村薫なら楽しませてくれるのは間違いないでしょうが)