鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「日本でいちばん『親切な会社』をつくる」

・日本でいちばん「親切な会社」をつくる  牛たんねぎしの働く仲間の幸せを考える経営
著者:根岸榮治
出版:ダイヤモンド社

日本でいちばん「親切な会社」をつくる---牛たんねぎしの働く仲間の幸せを考える経営

日本でいちばん「親切な会社」をつくる---牛たんねぎしの働く仲間の幸せを考える経営


「経営品質」に関する勉強会で講師から取組み紹介があった「ねぎし」の取組みを社長自らが記した作品。勉強会で見たDVDに感銘を受けたので、早速読んでみました。(「カンブリア宮殿」にも登場したらしいですね。)


まあ基本的には勉強会で紹介があった通りです(当たり前だけどw)。でも改めて考えながら読むと、色々と気づきや、考えさせられるところはあるな、と。そういう意味では読んでよかったです。
「経営理念の徹底」
勿論これが全てのベースにあるんですが、一番感銘を受けたのはそれを実現するための「コミュニケーションの仕組み」です。
DVDを見たときに思ったのは、
「なんとまあ、打ち合わせや会議、面談の多い会社なのか」
と。
割と「業務効率化」を謳う場合は、こうした「会議・打ち合わせの削減・効率化」に踏み込むことが多いと思うんですが、「ねぎし」は逆です。ある店長は「すべては面談にある」とまで言っていますし、確かにそれはその通りなんだなと言うことが、本書を読むと確認できます。


何にせよ、現場を回していく上において重要なのは「PDCA」。
それをどうやって回し、そこから「改善」や「成果」に繋げていくかってことにみんな苦慮してるんでしょうが、この「PDCA」の「C」を、「ねぎし」では「チェック」ではなくて「コミュニケーション」と位置付けています。
素晴らしい「経営理念」を作り上げたり、
改善を進めるための「仕組み」を作り上げ、長年にわたって取り組んだり、
透明性の高い「人事評価制度」や「ステップアップ制度」を導入したり、
セントラルキッチンをレベルアップしたりetc、etcと、
他のこともすごく刺激的なんだけど、そのベースにあるのがこの「C=コミュニケーション」の仕組みなんじゃないか、と。
それがあって「経営理念の徹底」もできるし、「P」への社員参画も人事評価への信頼性も、各種の改善の継続も「前進」することができる。
僕にはそんな風に読めました。(そこが今の僕の「課題意識」に繋がってるからってのはあると思うけどね)


「ねぎし」ではこうしたあらゆる取組みや「コミュニケーション」の主体は「店長」と言うことになっています。
読み始めて僕はそれを会社の「マネージャー」(課長や支社長)に置き換えてたんだけど、途中で「これはちょっと違うかも」と思い始めました。
むしろ僕が働いている会社で言えば、このポジションに位置づけられるのは「代理店の営業担当者」でしょう。お客さんと直接接しているのは「代理店」。
その「代理店」と「コミュニケーション」を取りながら、「P」の策定にも参画し、「PDCA」を回していく。
これはやはり「営業担当者」のポジションじゃないですかね。
(もちろん業態が違うんだから、完全に重なるわけでもない。いわゆる「マネージャー」が位置付けられるケースもあるでしょう。でも「顧客目線」という立場から考えると、この方が実際的なように思いました)
「じゃあ、そこでの『経営理念』は?」
とかになってくると、なかなか輻輳化しますけどね(会社としての「経営理念」と、代理店組織の「経営理念」、双方に営業担当者は関与し、橋渡しの役目を果たすことになります。ここは結構難易度高いです)。


いずれにせよ、「勉強会」で受けた刺激は、本書を読んでさらに強まりました。
他業態の事例っていうのは、いつもとは違う「脳細胞」を動かされるようで、やはり参考になるんですよねぇ。


(ちなみに「ねぎし」のニューヨーク進出。
これはちょっと「?」な感じはありました。
いや、成功すればいいなぁとは、思いますし、その可能性はあると思いますよ。
でも何となく、それは今までの取組みからは少しずれるんじゃないか・・・と。
ま、部外者がどうのこうの言う話じゃありませんがねw)