鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「地政学入門」

・地政学入門 外交戦略の政治学
著者:曽村保信
出版:中公新書(Kindle版)

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))



佐藤優氏の「世界史の極意」に刺激されて、手に取った本の一冊。
Kindle化されたのは最近なんですが、元々の出版は84年。冷戦時代の後半・・・ですかね。ソ連がシッカリ存在感を発揮しています。
もっとも一つ前の流れで読んだのがニクソンの「指導者とは」だったので、流れとしてはあまり違和感なく読めてしまいました。ま、ニクソンなんかの考え方のベースにはこういう枠組みがあるということもあるんでしょうかね。


読んでみて思ったのは、
「結局、『地政学』っていうのは『科学』じゃないな」
ということ。
じゃあ、何かと言えば、
「哲学」や「思想」や「フレームワーク」や、あるいは「物語(フィクション)」ですらあるか、と。
証明しようがないですからね、要は。


「じゃあ、無用の長物か」
と問われると、そうとも言えない。
「政治」特に「国際政治」という、複雑で、見通しがつかず、流動的で、自らが観客でもあり、プレイヤーでもあり・・・という何とも扱い使い代物に対峙する時、こういう考え方って言うのは「判断」や「分析」の役に立つんですよね。
勿論ソコには限界もあり、デメリットも少なくない。
でもそのことを認識していれば、非常に役に立つ。
・・・というか、政治の世界においては必要不可欠なものとさえ言えるかもしれない。
本書の副題が「外交戦略の政治学」。
まさにそういうものです。


冷戦期に書かれながら、ロシアがある種の「帝国主義」的な色彩を強めている現在、存外「通じるもんがあるな」って感じでも読めました。
そういう意味じゃ面白かった。
・・・けど、やっぱりこういうのは「その時代」を取り扱ったものの方が良いでしょうねw。
歴史的な流れを教科書的に学ぶには良書と思いますが。