鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「知的生活習慣」

・知的生活習慣
著者:外山滋比古
出版:ちくま新書(Kindle版)

知的生活習慣 (ちくま新書)

知的生活習慣 (ちくま新書)



「思考の整理学」がベストセラーになった英語学者・外山氏の新作。
何となく「自己啓発本」か、流行りの「ノウハウ本」って感じですが、中身はエッセイです。体系的な「何か」を期待していると、期待はずれに終わるかもしれません。(日記やスケジュール表の使い方やら、「ノウハウ本」的な話もあるんですがね)
個人的には気軽に楽しく読めて、それでいて気付きもある読書体験でした。


基本にあるのは「知識信仰」に対する否定ですかね。


<知識そのものは無力で、生活の中で、仕事の中で、使用したときにはじめて力を出す。生活の乏しい知識人間は、知識のもちぐされになるおそれがある。>


「知識」ではなく、「思考(考えること)」を中心に置く「知的」スタンスを重視し、それを「生活化」する。
インターネットや色々なデバイスが身近になることで「知識」へのアクセスのハードルは劇的に低くなっているだけに、こういうスタンスは重要性を増していると思います。


<自分の生活を知的にする。そして知的なものを生活化する。さらに、知と生活の融合をさせられれば、人間としての価値は大きく高まる。>


「実学」を重んじるような風潮もあるので、そこに合致する側面もありますが、そのベースになる「知的」であることってのは、結構「教養」も必要なスタンス。
なかなか難しいことを言われてるんですよね、実際には。(読みやすいんですけど)
そのためには「善玉忘却」が必要…って、「忘却」の重要性を強調してくれているのは、最近の物忘れが多くなってきてるんで、有り難くはあるんですが…w。


<本を読んでいれば知的だと思っているのは素朴な知識信仰である。そういう知識の賞味期限は短いから、中年をすぎれば、ゴミのようになる。ゴミは進歩のじゃまになるから、廃棄しないといけない。頭のゴミ出しをするのにいちばん心強い味方になるのは忘却である>


まずは「ゴミ」にならんようにしなきゃいけませんねw。