鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

すぐ先の「未来」感:映画評「her」

「恋愛ストーリー」としては、相手が「OS」になっただけで(それがキモなんだけどさw)、ある意味、「ありふれた物語」。



「her/世界でひとつの彼女」


成熟していない女性が、男性との関係の中で成熟し、やがて男のもとを去って行く。
女性の苛立ち。
男性の哀しみ。
二人の日々への感傷。
主人公は「妻」との間にその過程を経験しており、「サマンサ(OS)」との間にも同じ過程を経験する。
でも二度目の経験は彼を成長させており、その経験が二人&周りの人間への「優しさ」に繋がる。


・・・良く出来てますよ。
ちょいと情けない中年男の日々ですが、僕は馬鹿にしきれませんねw。
こういうのってありますよ。


でもそれ以上に僕がこの作品に惹かれたのは、この絶妙な「未来感」でした。
極端なSFXやCGが使われてる訳でもなければ、SFっぽい設定が施されている訳でもありません。(「ワープ」とか、「タイムスリップ」とかしなしw)
でもホンのちょっとしたところに設定されている「未来」の感じが、僕にはすごく気持ちよかったんですよ。
これは多分分かれるところで、
「こういうの嫌だなぁ」
って思う人もいるでしょうけどね。
その気持ちも分かりはするんですが。


具体的には一番は、やはり「OS」や「AI」との関係。
「サマンサ」は勿論特別ですが、それでもそれ以外のシーンで「OS」や「IT」が高度な「AI」に支えられて日常生活にシームレスに入ってきている感じが、自然に描けています。
「サマンサ」と仕事の整理をするシーンや、メールを書いたるするシーンは、何てことないけど、僕は好きですね。(デートをするシーンなんかよりw)
主人公の「代筆業」が、それはそれでビジネスとして成立している辺りや、登場人物達が生活にアクセクしてない辺りなんかも、
「リアルじゃない」
って批判もあるかもしれないけど、
「ロボットやIT 、AIが社会に組み込まれることで『労働』のあり方や『生活』の基盤が大きく変わってしまった社会」
という風に僕は観ました。
「映画特有の御都合主義」を否定はしませんがw。
一歩先の「未来」がこんな風になるなら、僕は悪くないと感じています。
(本作はこの設定から「人間」のあり方を問う展開になってますが、この設定から「エンタメ」に行くと、「ナイトライダー」現代版みたいになりますな。
これはこれで面白そうw)


しかしホアキン・フェニックス。
「いい顔」
になりましたな。
僕の印象は「グラディエーター」の「愚かな皇帝」のところで止まってたので、これはこれで驚きました。(あの奥さんと「幼なじみ」ってのには、ちょっと無理あると思うけど)
それとスカーレット・ヨハンソン。
「ルーシー」もそうでしたが、何やら「攻殻機動隊」実写版のヒロインを演じるとの話も。
なんか、そういうとこがあるんですかねぇ。