鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「オリーブの罠」

・オリーブの罠
著者:酒井順子
出版:講談社現代新書

オリーブの罠 (講談社現代新書)

オリーブの罠 (講談社現代新書)


同じ版元から出版されている「ユーミンの罪」と同様、酒井順子が、かつて自分がどっぷりはまり、自分自身を形成する「土台」としたものについて、回顧し、その功罪を論じるシリーズ…なんでしょうか?
まあ題名の構成から考えれば、そんな感じなんでしょうね。
「オリーブ」は酒井順子のデビューとなった媒体でもあるだけに、その関係性も濃厚です。


もっとも僕自身は殆ど「オリーブ」は読んだことないですからねぇ(当たり前?w)。特集か何かがちょっと気になって目にしたことくらいはあるかなぁ。多分それは酒井氏の分類による「第3期」あたりのことでしょうね。


正直言って、本書を読むまで僕の「オリーブ」の印象は「ポパイの兄妹雑誌」が強かったんですよ。
でもそれは酒井氏の分類による


1 初期のアメリカ礼賛時代
2 付属校文化とリセエンヌ文化の共存時代
3 ナチュラル&カルチャー時代


の「第1期」の印象ですな。
これプラス「第3期」の「ナチュラル&カラー」ってのが僕の漠然とした印象なんだけど、もっとも重要かつ隆盛期であった「第2期」の印象がスッポリないんですわ。
「リセエンヌ」?
そういや、そういうのもあったよなぁ…。


平凡社/マガジンハウスが示していた、
「非モテじゃない」
「自分を大事にする(センス中心主義)」
「広範な知識欲を持つ努力をする」
…といった方向性は、今から考えてみたら、結構大事なことなんじゃないかなとも思います。
ま、それがメインムーブメントになるのは中々難しいだろうし、だからこそ、最終的には「退場」せざるを得なかったんでしょうけどね。
そういうことを大上段に「教える」っていうスタンスも、根本のところで目指す方向性と齟齬をきたしてるような気もするし…。
でもそういう実験的な動きが「僕の知らないところで」あった…てのはちょっとした驚きではありました。
オリーブ少女/ヤンキー/赤文字系雑誌女子
なかなか熾烈な戦いが繰り広げられておったんですなぁ、お隣の世界では…w。


最近「オリーブ」に関してはジェーン・スーが発言してて、「読者」としての回顧という点ではこっちの方をもうちょっと読んでみたいなって気もします。
なんだかんだ言っても、酒井順子は「発信者」でもありますしね。(そういう観点からは「発信者」同士の話を突っ込んでほしかったっていう気もします。編集者とか、泉麻人とか)
ただジェーン…スーとはちょっと食い合わせが悪そうな気もせんでもないけどw。


正直、読む前は、
「自分たちが結婚できないのはオリーブのせい!」
みたいなオチかと思ってたんですが(その点も語られてますが)、もっと前向きに捉えているところが多くあって、それはそれで面白く読めました。


ま、基本的には
「あんまりご縁はなかっけどね」
って感想ではあるんですがw。