鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」

・東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
著者:松尾豊、塩野誠
出版:中経出版(Kindle版)
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人工知能学の権威とビジネス戦略家が「人工知能」の現状と未来について対談した作品。
「アルゴリズム」や「人工知能」がビジネス現場や社会をどんな風に変えていくか。
最近、そこらへんに興味があって、Kindleの「オススメ」に引っかかってたのを見てDLしました。


ただ正直言うと、ちょっと期待とはちがってましたかねw。
もっと「ビジネスがどう変わっていくか」「社会にどんな風に影響を与えるか」「制度や仕組みがどんな風に変わっていくか」ってあたりを具体的に語って欲しかった思いはあります。「2035年の世界」の裏付けみたい感じです。
本書はどちらかというと、「人工知能ってこんなもの」「人間とはこんな風に違ってる」といった概念的なところに主眼があって、確かに具体的な話も出てくるんだけど、それほど突っ込んで語ってるって感じはないです。
脳科学との接点や、哲学・倫理にまで言及されてますからね。間口が広いっちゃあ、広いw。そういうもんだと思って読むと、対談形式でわかりやすく、入りやすい作品…とも言えますか。
時々置いてかれたところもあるけど、全体的には興味深く読めたようにも思いますよ。


個人的には「人工知能」の「あり方」が面白かったですね。
なんか「人工知能」っていうと、アトムやら「HAL」やら「ビッグマザー」やらって感じがあるんですが、そう言う「人格的な統合」がされた存在というよりは、「人工知能」的なアプローチから発見・発明された「機能」がビジネスや社会に入り込んでくるんじゃないか、という。
確かにスマホの個々の機能(Siriとかね)の進化を見てるとそんな感じもしますね。「人工知能」という統合された形で進化していくというよりは、ビッグデータを背景としたディープラーニングによって、必要とされる「機能」が進化して、社会との関わりの深度を深めていく。
まあその先には「ビッグマザー」がいるのかもしれませんが、当面はこんな感じなのかなと腑に落ちました。
ちょっと「攻殻機動隊」チックですがw。


本書の中ではプログラミングによって「人工知能」の「進化」を観察するような話もあって、そっちの方は「ビッグマザー」方面のお話につながっていくような気がしますが(その「進化」のあり方が、恐らくは「人間とは」とは異なる方向性であろうという点も含め)、コスト対効果や利用頻度との関係からいうと、「機能」面から進化の必要性が判断されてくって方が「現実的」って感じがします。
「人間とは人工知能のコラボによるビジネスや社会運営」
って方向ですね。
ま、それだけでも相当のことはできるはずで、「政策」におけるビッグデータ活用なんか、社会の「あり方」そのものを変えてしまうインパクトがあるかもしれません。
それが「必要」とされるかどうかは、ともかくも。


「機能」から「「人工知能」が入ってくることの恐ろしさは、
「便利と思って使っているうちに、いつの間にかそれなしにはいられなくなる」
ってことでしょうか。
そう言う意味で「人工知能(AI)」が今後のビジネスや社会にもたらすインパクトっていうのは、やはり見過ごすことはできないでしょう。
今更、一斉にスマホやタブレットを手放すってことは考えられませんから。
その前提で、
如何にして「上手く使いこなす」設計をするか、
普及後の社会において、自分のポジションをどのように確保するか。
要はそういう話なのではないか、と。


作者たちはこうした未来のことを「ワクワクする」
と言ってます。
そこまで言い切れないところが、僕との世代格差ってことですかね。