鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「インターネットの基礎」

・角川インターネット講座1 インターネットの基礎 情報革命を支えるインストラクチャー
著者:村井純
出版:角川学芸出版全集(Kindle版)



今更ながらなんですが、最近ICTの実生活への影響力の強まりを感じるようになって、
「ちょっとインターネットのことやら何やら、勉強しといたほうが良いかなぁ」
って気分になってます。
僕は一貫してネット関係については「ユーザー」の立場で、ガジェットを楽しんだはするものの、その「活用」については表面的なもの(早い話が、モノを買ったり、情報を見たり。せいぜい軽くライフハックって感じでしょうか)に止まってるんですが、もうちょっと「何故」のところに踏み込まないと、いろんな局面で判断を誤ったりするんじゃないかと、ちょっと怖くなってきたんですね。
今更「プログラムしよう」って訳じゃ勿論ないんだけど、ちったぁ「中身」のことを知っててほうが良いだろう、と。



で、最初に思いついたのが村井氏の「インターネット」(岩波新書)。
入門としての世評の高さは知ってたので、
「ここらへんかな?」
と思いはしたものの、90年代の作品ですからねぇ。
その後のフォロー作品も出ているようですが、それでも数年前の作品。
そもそも「流れ」の早さにビビって勉強してみようかって気分になってるのに、頼るのがそれでいいのか、でも他の本は今ひとつピンとこないし…
と迷ってるところで、ポンと本書に出会いました。
「いやでも2700円は、ちと高い」
と思い、一度はスルーしたものの、
「まあ自己投資と考えればいいか」
と思い直して、(それでも少しやすい)Kindleで購入。
セールスじゃないKindle買いは珍しいかもw。(そのうち安くなる気はするんですがね)



「いやぁ、よく分かりました」



…と言いたいところですが、そこまでは…。
全体的な流れは漠然とつかめたような気はしますが、試験されたら殆ど「落第点」ってとこでしょうか。脚註なんかほぼすっ飛ばして読みましたしw。
でも「インターネット」の創世記から現代にまで、技術論に中心を置きながらも俯瞰できたのは良かったと思います。
「土地勘のない」文系人間にも、比較的理解が届く書き方をしてくれてます。
これはやっぱりこの作者ならではでしょうね。
だからって、エンジニアになれるってもんでもありませんがw。



感銘を受けたのが「インターネットの仕組み」が中央集権的ではない、分散型の仕組みになっていて、そのことが「インターネット」に関係する組織や人の考え方の中にも根強く浸透してるってことでしょうか。
ま、この辺りが「インターネット」が普及するにつれ、先進国と新興国との考え方の違いにぶつかってきたりもしてる訳ですが。
また「民間」との距離感にも考えさせられました。
欧米だとインターネットの開発者はドンドン民間に入っていって、「ビジネス」との関係を深くしてるんですよね。
その良し悪しはあると思いますが、このスピード感は民間ならではでしょう。
極めて民主的な仕組みを、スピード感を持って展開する…今のネットがらみの社会・経済環境を象徴するような構図だと思いました。(そういう意味では「How Google Works」で描かれたように、「Google」は極めてネット的な存在と言えます)



日本はここまでは行きませんね。
今の「閉塞感」はそことの相対的なところに発してる部分もあるかもしれないなぁ、と。
でもこの中庸的なスタンスだからこそ、「日本語化」を通じたネットの「多言語化」に日本は貢献し得たと言えるかもしれません。
ビジネス的な判断だと、割に合わない取り組みって感じがしますから、多言語化は。



まあ僕が知っておくには十分の内容が本書にはあったと思います。
という意味で、現時点でのインターネットへの入門書としては最適なんじゃないですかね、本書は。
「2,000円」(書籍だと「2,700円」)かけて読む価値があると思うかどうかは人によるでしょうがw。