鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「弱いつながり」

・弱いつながり  検索ワードを探す旅
著者:東浩紀
出版:幻冬舎(Kindle版)



最近読んだ佐々木俊尚氏の「自分でつくるセイフティネット」ではSNSを「弱いつながり」を構築するためのツールとしてあげていました。
本書でも「弱いつながり」の重要性を強調してるわけですが、SNSを含めたネットは「強いつながり」を強化するツールとして、リアルの重要性が主張されています。
「おやおや」って感じですが、これはネットとの距離感の差でしょうね。ある種の「世代格差」とも言えるんじゃないかと思います。



今の中高年にとっては「人間関係」はリアルで構築して来たものです。SNSなんてありゃしませんでしたから、昔の人間関係なんか維持出来ていないものが少なくありません。
そういう世代にとってはSNSは「弱いつながり」を再構築するのに最適のツールになります。
途切れたと思っていた人間関係が、SNSを通じて再び身近になってくる。
僕にとってFacebookは正にそういうツールになってますからねw。
こういう世代にとっては佐々木氏の主張は合致するわけです。



一方で若い世代にとっては「人間関係」はこれから積み重なってくるものです。
彼らにとってはSNSやネットは身近にあるものであり、人間関係もその影響を受けながら構築され、維持されます。
まあそういう環境だと、ネットは人間関係の「強化」として作用する可能性は高いでしょう。
そう言う世代にとっては本書の主張のほうが「弱いつながり」の構築のためには役に立つんじゃないかと思います。



簡単に言えば、
「これまでのことは佐々木氏」
「これからのことは東氏」
って感じ?w



ま、両者とも「弱いつながり」、つまりは「多様性を包含する関係性」の重要性を唱えてるんじゃないか、ってのが僕の理解です。
これは橘氏の主張することにも重なっていて、「今」における重要課題って言うのはここら辺にあるってのが浮き彫りになった印象もあります。
…っつうか、「多様性の重要さ」ってのは昔から言われてることなんですがねw。
ただネットが出て来たことで、そこら辺の「読み直し」「再定義」が必要となった…ってことなのかもしれません。



東氏は「一般意志2.0」でもネットのリアル活用に触れていました。
本書でも「リアル」の重要性を唱えながら、「ネット」への接続も重視しています。
まあ色々言われているし、「う〜ん…」ってとこもなくはないんですが、極めて現代的な問題意識は持ってるんじゃないかと思います。
「子供が出来て変わらざるを得なかった」
ってのも共感出来ますしねw。