鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「不愉快なことには理由がある」「バカが多いのには理由がある」

・不愉快なことには理由がある



・バカが多いのには理由がある



著者:橘玲
出版:集英社(Kindle版)




週刊プレイボーイに連載しているコラムをまとめた作品。
前者が11年5月から12年10月、後者が12年11月から14年5月に掲載されたものをまとめています。



この連載記事は著者のブログにも転載されていて、チョクチョク僕は読んでるので、読んだ覚えがあるコラムも少なくなかったです。
ただ細切れに読むと、そのネオリベ的なスタンスに
「う〜ん」
って感じになることが少なくないのが、こうやってまとめて読むと、
「確かになぁ」
って感想になります。
書籍化するにあたって、丁寧なプロローグ・エピローグをつけ、作者のスタンスをシッカリと打ち出してるところが、そう言う感想につながるんでしょうね。



連載で時事的なことを取り扱っていますから、やっぱり前者よりは後者のほうが興味深く読めます。
国内外で一面的な「正義」の機能不全があれこれ見られる中で、「正解」ではないけど「多様性」を許容するような見方を提示してくれる、という意味で、本書のスタンスは実に役に立ちます。
まあ、「不愉快な」なことも少なくないですけどねぇw。
少し前に読んだ「遺伝子の不都合な真実」。アレに近いところはあります。(本書のベースには同じ研究結果をベースにした知見があります)



こういう「多様性」の中から(「正解」ではなく)「対処法」を見出して行くしかない時代に今は足を踏み込んでいるんだと思います。
でもそのことに苛立ちが募り、わかりやすくて画一的かつ過激な言説が跋扈するようになる…そういう傾向がそこここで見受けられるようになっているという「現実」も確かじゃないでしょうか。
それを乗り越えて「遅い判断」(「理性」やら「論理思考」やら)を尊重出来るような社会を作り上げることが出来るのか。



いやはや、難しい時代です。