鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「HHhH プラハ、1942」

・HHhH プラハ、1942
著者:ローラン・ビネ 訳:高橋啓
出版:東京創元社



いやはや、無茶苦茶面白かったです。
ここんトコロではNO.1ですね、個人的には。



評判は聞いてましたが、予想以上。
ハードカバーは重いし、邪魔になるんで、
「電子書籍か、文庫になったら」
と思ってたんですが、図書館で借りれたので読んでみました。
でもこの出来なら手元に起きたいトコロ。
文庫になったら買おうかなぁ。



スタイルとしては、歴史的事実を扱いながら作者が顔を出す…って言う意味では「司馬遼太郎」と「塩野七生」の間くらい。
でも実は徹底的に「文学作品」を志向してて、ノンフィクションとは一線を画する感じも濃厚です。
作者の言う「基礎小説」ってのは分かりませんがw、
「新しいことにチャレンジしてる」ってのは確かでしょう。



読むに当たっては、事前知識があった方が一層楽しめるかな。
そう言う意味じゃ「ネタバレ」厳禁の作品じゃありません。
私はWikipediaで「ハイドリヒ」について事前に読みましたが(結構ボリュームあります)、目を通しておくと、大体のことは理解できます。
「ナチス」「ホロコースト」「第二次大戦」といった大枠だけじゃなく、一歩ディテールに踏み込んだ知識があった方が楽しめます。



折しもガザをめぐるイスラエル/パレスチナ(ハマス)のせめぎ合いが激しくなって、反ユダヤ感情も垣間見える今日この頃。
このタイミングでコレを読むのも、なんとも言えません。
でも一級作品なのは確かでしょう。
一連のドラマの果てが「現代」にまで繋がっているコトを痛感しつつ、刺激的で興奮に満ちた読書時間を持つコトが出来ました。



いやぁ、面白かった!



(ところで、コレって、「イギリスにパラシュートで降下して要人を暗殺する」・・・って設定をひっくり返すと、「鷲は舞い降りた」にソックリ。
ヒギンズはこの史実を下敷きにしたのでしょうか?(悲劇性は史実の方が数段上です))