鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「『地球のからくり』に挑む」

・「地球のからくり」に挑む
著者:大河内直彦
出版:新潮新書(Kindle版)



もともとは作者の別の作品(「チェンジング・ブルー」)が読みたかったんですけどね。「気候変動」を取り上げたこの作品はいくつかの書評で高評価で面白そうだったんで。
でもKindleになってないのと、少し高い(3千円くらい)・・・というので躊躇してしまい、で、同じ作者のこの新書に手を出した、という次第w。
いや、こちらも良い書評、出てましたけどね。



本訴のテーマは「エネルギー」。エネルギーから見た地球史・人類史という感じで、石油・石炭をメインに、エネルギーの歴史とその影響について語られています。「気候変動」を専門にする作者ですから、そこは「環境破壊」や「地球温暖化」に繋がるんですが、イデオロギッシュにエコを振りかざすんじゃなくて、科学的アプローチから歴史に沿って丁寧に解説してくれる姿勢には好感が持てます。こういうスタンスって重要だと思います。



「読み物」としても面白く、エネルギーを巡る人間ドラマなんかも刺激的なんですが、テーマとして最も興味深かったのは、二酸化炭素/酸素の「炭素サイクル」について、1年単位で動く「生物サイクル」と、数億年単位で回る「地球サイクル」に整理しているところですかね。
化石燃料を使うっていうのは、この「地球サイクル」で回っているものを、人類が高度な技術で「生物サイクル」に取り込んでるってこと。
・・・「ナルホド」って感じです。
環境問題に関して僕は「中道左派」ってトコだと思いますがw、「長期的視野で考える」ということを、こういう風に整理されるとスッキリします。
だからって途端にエコに走るって訳でもないんですが・・・。



震災以降、「エネルギー問題」ってのは避けて通れないテーマです。
何んとなく忘れたような雰囲気もありますが、中長期的には「解」を選ばなければならない問題です(環境やら、政治やら、地政学的問題やら、経済やら、複雑に色々なことが絡んでますが)
そういう際に頭の整理として読むのには向いている作品ではないか、と。



「チェンジング・ブルー」、読むべきかなぁ・・・。