鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ジェフ・ベゾス」

・ジェフ・ベゾス 果てなき野望 Amazonを創った無敵の奇才経営者
著者:ブラッド・ストーン 訳:井口耕二
出版:日経BP社(Kindle版)



先行する作品としては「ワンクリック!」があります。
まあそれから一年後の出版ですから、「以降」の話があるってのもありますが、前者が「300ページ弱」、本書が「500ページ」という「量」での差が一番ですかね。
実際には読み終えてみても、あんまりAmazonやベゾスに関する知識が増えたような気はしませんでしたw。
それだけ情報管理のキビシイ組織ってことなんでしょうが。



そういう意味ではKindleFireに関する情報が少ないのが気になります。
Kindleはある意味、電子書籍にイノベーションを起こした作品じゃないかと思いますが、Fireの方は今のところはまだそこまで行ってませんからね。
「iPadの廉価版」
ま、そんなところでしょう。
ただしジョブズはこの世を去りましたが、ベゾスはまだ意気軒昂。
ここから新たなビジネスモデルを築き上げてくれる可能性はあります。(それを期待してもいます)



僕自身はビジネスマンの「成功物語」については「物語」としての面白さは買うものの、「役に立つか」って言う点には懐疑的です。
「株」が結局は「ランダムウォーク」であるように、成功者も「結果論」の部分が少なくなく、プロセスの中では「偶然」の要因が時には決定的であると思っています。
本書のベゾス/Amazonの辿ってきた経緯を見ても、そういう側面は少なくないと思います。
現時点のAmazonの隆盛に疑いはありませんが、多分に「ラッキー」だったのも間違いないでしょう。
勿論、「株」と同様、その根本にはシッカリした「ビジネス」と前に進む経営、それを実現する組織力があるのは大前提ではありますがね。



Amazonもベゾスも「今」に満足するタイプではないようです。
ということは「これから」があるでしょうし、その成り行き次第では更なる「成功」も、突然の「衰退」もあり得るでしょうね。
でもそういうチャレンジが社会を変えてきているのも確かです。
20年前を考えたら、Amazonがもたらしてくれたモノの大きさは否定しようがないですからね。



それが社会や個人にとってどこまで有益なものなのか・・・って視点は確かにあります。
「善者」と信じるにはベゾスのキャラクターが強烈すぎることも本書を読めば分かります。
それでも「現時点」よりも「前」に進もうとするベゾスとAmazonに対して、僕は期待したいですね。



それが同世代(ベゾスは僕の一つ上)へのシンパシーなのかどうかは何とも言えませんがw。