鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「書楼弔堂 破暁」

・書楼弔堂 破暁
著者:京極夏彦
出版:集英社(Kindle版)



なかなか「京極堂」のシリーズの新作が発表されなくて、何となく遠ざかっていた京極夏彦氏の新シリーズ。
まあ「百物語:のシリーズなんかは面白く読んでたんですけど、「どすこい」とかのパロディ小説なんかになると、何とも「ついていけないなぁ」って感じになっちゃったんですよね。
元々は「怪談」は苦手ってのもありますし。



本作は最近流行の「書店もの」の一種?w
勿論、京極氏だから単純な仕立てのはずがなくて、時代は明治初期。
その時代の実在の登場人物が登場して(ジョン万次郎とか、勝海舟とか、泉鏡花とか)、自分が求める「本」を主人公から渡される・・・というのが大きな骨格。
最終話には「京極堂」のシリーズに連なる人物も登場して、京極ファン向けのサービスもあります。
(もっとも私はそこまでのファンじゃないんで、ちょいとピンと来ませんでしたがね、最初に読んだ時は。
ネットでの書評を読んで、「なるほど」と思った次第です)



まあ雰囲気はあります。
実在の人物のチョイスの仕方もナカナカ面白いんじゃないでしょうか。(ちとマニアックなチョイスもありますが)
でも何となく「乗り切れないなぁ」ってのが正直な読後感でした。
多分、主人公(弔堂の店主)のキャラクターが漠然としすぎてるからなんだと思います。
やってることは京極堂にも通じるもんがあるんですが、狂言回し(関口)との距離感が近い分、キャラクターに人間味が感じられたのが京極堂シリーズ。
それに比べると、本作の主人公は「謎の人物」色が強すぎます。
その割には、あまり強いキャラ設定でもなく・・・(これは作者の意図かもしれませんが)。良くも悪くも、個人的には京極作品には「外連味」を求めるところがあって、そういう視点からはちょっと物足りない・・・って感じたってことです。



「新シリーズ」とのことですが、続きはあるんですかね?
勝海舟の登場の仕方なんかを考えると、あっても面白いかなと思いますが、連作としてはコレはコレでまとまってる感じもします。
あったら読むかなぁ。
ま、微妙なとこですw。