鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ワンクリック」

・ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛
著者:リチャード・ブラント 訳:井口耕二 解説:滑川海彦
出版:日経BP社(Kindle版)



この本が発売されたとき、「読みたい」と思ったんだけど、同時に「読むなら電子書籍、Kindleがいいだろう」とも思った。
でもナカナカKindle版が出なかったんだよね。
kinoppyでは出てたので、「どーしよーかなー」と迷いつつ、ぐっと我慢して、我慢してるうちに忘れてましたw。
で、Amazonの月間セールの通知の中に見つけて、ようやく購入した次第。
また、やられましたな、Amazonに。



Kindle化が後になってたんで、Amazonに対するネガティブな内容なのかなとも思ってたんだけど、そこら辺はフラットだったね。
勿論、ベゾスのマネージャーとしての変人ぶりに触れたり、失敗した事業についてコメントしたりもしてるんだけど、そんなに批判的ではない。
じゃ、提灯もちになってるかと言うと、確かに成長ぶりに対する評価は高いとは思うけど、それは事実でもあるので、鼻につくようなレベルではないと思うよ。
ま、良くも悪くも「入門書」レベルかな?
「Amazonってどんな会社?」「ベゾスってどういう人?」「Amazonのビジネスモデルや、事業展開はどんな風?」
みたいな質問には答えてくれる作品だと思う。
そこから一歩踏み込んで、文化や社会への影響や、Amazonのビジネスモデルの汎用性、経営者としてのベゾスの評価、今後のAmazonの行方・・・あたりを知りたいと思うと、ちょっと物足りない感じも。
ここら辺は簡単には答えられないことでもあるけどね。



しかしまあ、このジェフ・ベゾス。
僕より一つ上なだけなんだよね。
まあIT関連のプレイヤーは日本でも僕の年下が既に主流だから驚くべきことではないとも言えるんだけど、それにしても・・・。
20代にして金融業界で成功を収め(その内容はITシステムに関するものだったんだけど)、30歳にして起業家への途を。
以来ここまで・・・。
自分と比較するのは、そりゃ烏滸がましいんだけど、自分自身の経歴を考えると、あまりの目の付け所の格差にため息が出ますw。
何ともねぇ・・・。(言っても仕方ないかw)



Amazonについては僕はヘビーユーザーなのでw、その利便性は理解しているつもり。本書でもその点は確認できた。
興味があるのはAmazonが今後社会や文化にどういう影響を与えるか、だね。
書店文化に対する影響はやっぱり大きいだろうけど、本書でも指摘されているように、独立系書店なんかには競合の余地がある。日本の場合、「安売り」で大手書店が攻勢をかけるってのはないので、案外米国よりは書店の生きる道はあるかな、って感じがするんだけど、どうだろう?(実際、割と大手書店はそれを意識したリニューアル(喫茶の充実、椅子・ソファの設置、レンタルとの併設)をしてるしね。むしろ小規模書店が・・・ってのもあるけど、これはAmazonの影響と言うより、読書文化そのものの衰勢が大きいと思う)
むしろ小売業、特にネット通販との競合が問題だろう。つまりは「楽天」「ヤフー」。ヤフーの出店料無料化なんかは、この流れを見据えて・・・だろうしね。
その流れの中で、小売業全体がどうなってくるのか・・・。「デパートの土管化」なんて話もあるからなぁ。



今後のことを考えると、「書店」という枠を越えて、「小売業」全体を巻き込んでの競争が激化するのは確かだろう。
急速に拡大するクラウドサービスにおいてもAmazonは着実にポジションを確保している。
十年先のことは分からないけど、ここ2、3年のここら辺の動きは激しいと思う。
その中心にはAmazonが・・・。
その動きをフォローするためにも、本書は役に立つと思います。