鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「機龍警察」「機龍警察 自爆条項」

・機龍警察

・機龍警察 自爆条項<上・下>


著者:月村了衛
出版:早川書房(Kindle版)



吉川英治賞を受賞(3作目の「暗黒市場」)したのを知って、「読んでみたいな」と思ってたところを、Kindleで第一作を見つけて購入。
でも読み始めたら、何やら「パトレーバー」(懐かしい)みたいなもん(「龍機兵」)が出てきて、何か読む気を失っちゃったんだよね。
調べてみたら二作目(「自爆条項」)は日本SF大賞を受賞してるんですな。
「パトレーバー」は好きなんだけど、何かその亜流を読む気には・・・って感じでしばらく放置してたんだけど、出先で読むものがなくなった際に、「まあ読んでみるか」と開いてみて・・・。



「ムチャクチャ面白いやんけ!」



で、二作目もDLしてしまいました。
いやぁ、これはナカナカのシリーズです。



まあ「パトレーバーの亜流」ってのは間違いないと思うよ。
特に映画版の「2」は意識してるだろう(「パトレーバー」にあった「仲間観」はないけど)。
政治的な判断もしながら自ら「善きこと」と考える目的に向けて策謀をも辞さず進む「沖津部長」には、「後藤隊長」の影響がありあり。
ロボット(じゃないのかな?w)同志のアクションも読み応えがあるし、活劇としての出来もいいと思う。



ただ本書は「警察小説」として読まれるべき作品でもあるだろう。
閉塞的な警察組織の中に「部外者」として存在する三人の龍機兵搭乗者。
その尋常じゃない「経歴」と「過去」を緯糸に、沖津が対峙する<敵>との戦い、その過程で露わになる警察組織の排他性と硬直性、そして日本の行政組織の官僚制の弊害・・・
「活劇」よりもこっちのほうが読ませる。
特に二作目の女テロリストの「過去」には、
「ありがち」
と思いつつも、胸点かれてしまいましたよ。



一気に三作目まで・・・とも思ったんだけど、ちょっとクールダウンするために二作目で休止。
吉川英治賞を受賞したのは三作目だから、出来には期待できるしねぇ。
二作目は「過去」パートに比重がありすぎて、ちょっと沖津の策謀の部分が「もう一つ」って感じもあったんだけど(「読み負け」が多かった印象w)、そこら辺がどうなるのかも、楽しみ。



テーマや物語の運び、キャラの立て方に「ラノベ」的な「軽さ」も感じるけど、僕はソレはソレでいいと思っている。(作者はアニメの脚本なんかを書いてたみたいだし)
新しい才能ってのは、いつだってワクワクさせられるものです。
あんまり長いシリーズにはならないように祈ってもいますがw。
(まあでも「読む人を選ぶ」ってのも確かだろうね。
「パトレーバー」を許容できない人は止めといた方がいいだろうな。
物語の核は「警察小説」でも、枠組みは「SF」だからねw)