鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「採用基準」

・採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの
著者:伊賀泰代
出版:ダイヤモンド社(Kindle版)



リクルートスーツに身を包んだ男女がビジネス街を行き来するシーズンになったので、こんなものを・・・。
作者はマッキンゼーの採用/教育担当を長く務め、かの「勝間和代」氏を採用したとの人物。おそらくは「ちきりん」氏その人でもあり、そこら辺が手に取る動機になったのも確か。
人事部じゃないんだから、そうじゃないとこんな素っ気ない題名の本は買いませんわなw。



で、内容なんだけど、
「看板に偽りあり」w。
いや、確かにマッキンゼーが採用において重視するポイントについて論じられてるんだけど、本書を読んで例えばマッキンゼーの採用対策になるかというと、まあナカナカそれは難しいだろうね。
その一方で、書かれていることは「ごもっとも」なことばかり。
僕が勤めてる企業の採用基準にも通じるものがあるなぁ・・・と感じたりもする。(ここまで洗練されてないし、戦略的でもないけどね)



マッキンゼーが求めるもの。
<地頭より論理的思考力より大切なもの>
それは「リーダーシップ」である。
そのリーダーシップは「カリスマ経営者」による中央集権的体制を牽引するリーダーシップではなく、分散型組織において、組織のメンバー個々人が発揮すべき「リーダーシップ」と規定されている。
本書ははっきり言えば「リーダーシップ論」なんだけど(作者自身は明確にそのことを意識して、言ってみれば「ツリ」でこの題名をチョイスしたんだと思う)、日本において一般的な「リーダーシップ論」との差はこの部分にあるんだよね。
「日本に不足しているのはカリスマリーダーじゃなくて、『リーダーシップキャパシティ』」ってのは、耳が痛いところもあるけど、全くその通りだとも感じている。例えば「3.11」なんかはそのことを如実に露わにしちゃったんじゃないかな。



リーダーがなすべきタスクは「目標を掲げる」「先頭を走る」「決める」「伝える」の四つ
リーダーシップは添付のものではなく、学習可能なスキル
マッキンゼーでリーダーシップを学ぶ際に基本動作は「バリューを出す」「ポジションをとる」「自分に仕事のリーダーは自分」「ホワイトボードの前に立つ」
などなど、指摘されているポイントにはいちいち納得できることが多い。
反省しきりではあるんだけど、改めて考えさせられたことが多かったのも事実だよ。
確かに「リーダーシップ・キャパシティ」を増やして行くことが、今の日本に求められている最も重要な課題なのかもしれないな。
少なくとも社会が分散型になって行くってのは間違いないだろうから、その中で中央集権的リーダーシップが機能すると思うことの方がおかしいだろう。



正直、伊賀氏(ちきりん氏)の考え方に全て賛同って訳ではない。
何より、40台後半になった僕の立ち位置って言うのは、ある程度の「既得権益」を踏まえたものになってるだけに、
「そりゃキツいなぁ」
と感じることも少なくないのよw。
しかし自分の子供達や、組織の未来を考えると、こういう考え方に立脚した人材育成ってのは本当に必要だと考えざるを得ない。
そこに「伸びしろ」があると思うと、将来に対する希望にも繋がるしね。



題名にかかわらず、「教育」すべき人材に関与する人にとっては意義のある一冊ではないか、と。