鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「人間関係をしなやかにするたったひとつのルール」

・人間関係をしなやかにするたったひとつのルール はじめての選択理論
著者:渡辺奈都子
出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(Kindle版)



「他人をコントロールすることはできない。コントロールできるのは自分だけ」



「たったひとつのルール」ってのはコレ。
このことは僕自身、過去の経験の中から自分自身に言い聞かせて来ていることでもある。何年か前に「自分の小さな『箱』から脱出する方法」って自己啓発本に感銘を受けたことがあるけど、あの本の根幹となる主張も同じだった。



そういう意味じゃ「新味」のない主張でもあるんだけど、この「選択理論」ってのは長く(70年代くらいからかな?)心理カウンセリングの現場で活用されてきた理論らしいからね。むしろ「小さな『箱』」なんかは、そうした現場での成果がフィードバックされた中で成立してたのかもしれないな。
僕が経験から積み上げてきたことも、おそらくはそういう影響を受けて言語化されてきたのかもしれない。
それほど大した「経験」を積んできてる訳でもないからさw。



本書は「選択理論」の入門書として、こうした「自分をコントロールすることで、幸福感を高め、環境にも影響を与えて行く」(そのことで「コントロール」ではない形で他人が「変わる」ことはありえる)あり方について解説してくれている。
「外的コントロール」を「選択理論」と対峙させることで、その特徴を明確化したり、「自動車」の比喩を使って、コントロールできる「行為」と「思考」(これが「前輪」)、コントロールできない「感情」と「生理反応」(こちらが「後輪」)の関係について整理してくれたり、興味深く、それでいて分かりやすく読ませてくれる。
「選択理論」の核である「基本的欲求」(<愛・所属の欲求><力・価値の欲求><自由の欲求><楽しみの欲求><生存の欲求>)と「上質世界」の考え方なんかもすんなり頭に入ってきたよ。



まあ「選択『理論』」と名付けられているけど、「科学的アプローチ」と言うよりは、「自己啓発的アプローチ」だとは思うけどね。でも人間関係や自分の精神状態に悩んでる者にとっては、「科学的」であることより、「役に立つ」ことが第一だろう。
そういう意味ではこの「選択理論」は実に役に立つ・・・ってのが個人的感想ではあります。



・・・っつっても、ナカナカそういう風にはいかんもんだけどねぇw。
特に身近な者、家族、その中でも「子供」との関係では、ついつい「外的コントロール」を使いがちになっちゃう。
「『しつけ』だって必要だし・・・」
って気持ちがどうしても捨てきれないんだよ。
一方で某バスケ部や柔道代表でのアレコレを考えると、そこに自分自身のコミュニケーション能力に対する「エクスキューズ」が潜んでいる可能性も否定しきれない。
ここに明確な「線引き」は難しいところがあると思うけど、「人間関係は『勝ち負けじゃない』」ってのは「家族」にこそ徹底すべき観点でもあると思う。
そのことを改めて考えさせられた一冊でした。



ま、気持ちが楽になる指摘が多いってのは確かだと思うよ。