鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「虚像の道化師」「禁断の魔術」

・虚像の道化師 ガリレオ7



・禁断の魔術 ガリレオ8



著者:東野圭吾
出版:文藝春秋



「ガリレオ」シリーズの新刊。(出版は少し前だけど)
発表された短編を集めた「7」と、短編3編に中編1編の併せた書き下ろしの「8」になる。
長編もあるけど(「容疑者Xの献身」はナカナカの出来だけどね)、このシリーズは短編、せいぜい中編が向いてる印象が強い。
そういう意味じゃ、手慣れた感じで、安定した水準の話が集まっている。
実際には実用化されてない装置をトリックに使う話も中にはあって、
「そりゃないだろ」
と感じなくもないけど、厳密な本格推理を求めてる訳じゃないからね、このシリーズ。
湯川のキャラクターと、草薙/内海の刑事達との掛け合いみたいなところが読みどころであり、そこの安定感は「さすが」という感じだ。
確か、春からテレビドラマの新シリーズも始まるんだっけ?
ここにきての「書き下ろし」はそういう背景もあるのかな(笑)。



まあ作品への感想はそんなところなんだけど、面白かったのは最終ページに記されている茶作券に関する注意文言。



<本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。
また、私的使用以外のいかなる電子的複製行為も一切認められておりません。>



自炊業者を訴え、その関連で電子書籍化に関してネット上でちょっと話題になった作者らしいと言うか、何と言うかw・・・(今後はこれがデフォルトになるのかもしれんけど)。
「書籍」という形態に対する思い入れは僕にもあるんだけど、一方でスペースや価格面で電子書籍に期待しているところも非常に大きいのも事実(最近、読む本を選ぶ際の条件として「電子書籍」ってのは低くない要素になっている)。
何より、「広く読者層にリーチをのばす」と言う点において、作者こそは多くの媒体の活用をすべきなのではないか・・・というのが僕のスタンスだ。
そうしないと、ジャンルそのものが細ってしまうことに懸念を覚えてしまうんだよなぁ。



合理主義者である湯川博士であれば、この点は合意いただけるんじゃないかと思うんだけど、如何でしょう?w