鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「自分のアタマで考えよう」

・自分のアタマで考えよう 知識にだまされない思考の技術著者:ちきりん
出版:ダイヤモンド社(Kindle版)



「読書の技法」の後に読むというのは、ナカナカいい繋がり。
「読書」という知識を集積する手段を論じた作品に対し、本書は「知識」に囚われない「思考」の重要性を論じている。
勿論、佐藤氏も読書から得た知識を体系化することを論じているんだけど(それゆえ、知識の相対化に言及している)、ちょっと上級者向けな気もするんだよね。
本書の方が「思考する=自分で考える」と言うことについては入り易い内容になっているんじゃないかなぁ。
ま、どちらも目指す方向性は同じだと思うけど。



(「読書技法」のあとに本書を読んだのは、別に狙ったんじゃなくて、単に「気になってった本がKindleで出てたから」って理由でしかないんだけどね。
ブロガーで名を馳せた作者の本だから当然電子化されるべきと思ってたんだけど、何やら時間がかかったなぁというのが正直なところ(一足早く、koboでは発売されてたらしいけど)。
まだまだ電子書籍化には色んなハードルがあるんでしょうなぁ)



本書の内容については、作者自身がご丁寧に巻末にまとめてくれている。



〈●いったん「知識」を分離すること!
●「意思決定のプロセス」を決めること!
●「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと!
●あらゆる可能性を探ること!
●縦と横に並べて比較してみること!
●判断基準の取捨選択をすること!
●レベルをごっちゃにしないこと!
●自分独自の「フィルター」を見つけること!
●データはトコトン追いかけること!
●視覚化
●思考を深化させること!
●知識は「思考の棚」に整理すること!〉



それぞれについて具体的な事例をあげながら解説してくれているので、作者の言う「考える」ということがどう言うことなのかってのは、割とスンナリ理解できる。



〈「知識」と「思考」をはっきりと分け、「知識」を「思考」にどう活用するか、ということを学ばないと、「知識を蓄えるだけ、覚えるだけ」になってしまうからです。そうなったら「考える力」はどんどん減退してしまいます。〉



確かに「読書」(=「知識の習得」)してると、「考えた」気になりながら、結果的には思考停止ってコト、ありがちだからなぁ。
もっとも「知識」を活かさないと、「思考」も深化しないってのもあるけどね。
そういう意味じゃ、知識と思考は裏腹の関係。
…ということで佐藤作品と本書を続けて読んだのは、ナカナカいい繋がり…とw。



まあ、どっちにも言えるのは「わかった気になるのと、実行出来るかは全く別の話」。
どちらも実行のレベル感は高いよ。
ただ本書の方が間口は拾いし、敷居は低いとは思うけどね。
それでいてかなり重要な指摘を含んだ内容にもなっているし。



ちきりん氏のブログを読んだことがある人は、氏のスタンスを確認する上でも面白い作品だと思う。

社会人にとっては「ロジカル・シンキングが重要」とはよく言われるけど、そもそも「考える(シンキング)」とは…と言う入り方もイイんじゃないかな。
読み物としても面白いしね。



読んで損はないし、何かしらの得るものはある。



そんな作品じゃないかと思います。