鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「男の系譜」

・男の系譜
著者:池波正太郎
出版:新潮社(電子書籍)



電子書籍の「honto」で池波正太郎作品の電子化が進んでいる。
「剣客商売」は何度か読み直してたんだけど、 「鬼平犯科帳」はあまり再読してないので、この機会にDLを…
と思ったんだけど、一覧を見てて、ふと本作に気がつき、
「読んでなかったかな?」
と、購入。
…読んでましたw。
まあ面白く再読できたから、イイけどね。



作品としては、



戦国、江戸、幕末



それそれの時代を代表する主要人物について池波氏が語ったのを書き起こししたもの。
取り上げられているのは、



織田信長、渡辺勘兵衛、豊臣秀吉、真田幸村、加藤清正、徳川家康、
荒木又右衛門、幡随院長兵衛、徳川綱吉、淺野内匠頭、大石内蔵助、徳川吉宗、
井伊直弼、徳川家茂、松平容保、西郷隆盛



といった面々だ。



僕が最初に読んだのは大学時代だと思うんだけど、そん時の感想は、
「分かるし、参考にもなる。…でもチョット時代錯誤なとこも…」
って印象かな?
その大枠は変わらないんだけどw、「時代性」については、「存外古びてないなぁ」って印象もあった。
まあこれは、当時の池波正太郎の政治や社会に対する慨嘆が、今の僕が感じる政治・社会への物足りなさに重なったためかもしんないね。
「ギリシア時代から『今時の若者は』って不満はあった」
って話もあるくらいだから、単にこれは僕が年取ったってだけの話かもしれませんがw。



池波正太郎はある種の「男の典型」を描いた作者だと思う。
そこには社会や家族、他人(あるいは食べ物w)との関わり方が描き出されていて、それが読む者の価値観に影響を与える。
彼の作品を読む面白さはそこにある。
そういう意味じゃ若干の説教臭さを感じたりもするんだけど、イロイロ経験してると、膝を打っちゃうようなとこがソコココにあるんだよね。
二十代の時より、今の方がその頻度は高くなってる気がするとこに、池波氏の普遍性はあるのかもしれない。



とは言え、池波正太郎作品を読むなら、本作からじゃないのは確かw。
そりゃ、「剣客商売」か「鬼平犯科帳」「梅安」でしょう(短編だし)。
本書はあくまで池波正太郎ファン向けの作品です。