鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「日本人のための新『幸福論』」

・日本人のための新「幸福論」
著者:田原総一朗、佐藤優、宮崎学
出版:三笠書房



佐高信との対談に続いて、その本の中でも紹介されていた田原総一朗と佐藤優・宮崎学との対談。
まぁ、佐高信との対談はどちらかというと田原総一朗がゲストだったが、本書では田原総一朗がホストとして佐藤優、宮崎学を迎える形になっている。
田原総一朗批判で名高い佐高信と同様、佐藤優・宮崎学も田原総一朗と意見が合わない点も結構多いようだが(特に小泉政治や橋下氏に対する評価が違うように思う)、それでいて本書のほうが、建設的な意見を導き出しているという印象が強い。
キャラクターとしては、田原総一朗と対決姿勢の強い佐高信の方が近しいように思えるっていうのも面白いけどねw。



労働や技術、あるいはもの作りといった価値観を重視する佐藤優・宮崎学の思想っていうのはちょっと古臭い感じもするけど(イデオロギー色がそういう印象につながるのかもしれない)、震災を踏まえ、何かを作り出していこうという気構えを重視するという点は共感が持てる。
佐高信との対談でも田原総一郎は言っていたが、今や批判ばかりしていても何が生まれるわけでもないだろう。
今が危機的状況であることは確か。
それを認めながら、面白いことが起きそうだと思ってチャレンジをすること。
それこそが最も重要なことなんだろうと思う。
それを70を超えた田原総一朗のような「おじいさん」に一生懸命言われてるところが何とも言えないねw。
そのマインドセットは、佐高信や佐藤優・宮崎学にも決して負けない印象。
田原総一朗の「今」は結構面白いんじゃないかなぁ。



博覧強記の佐藤優、異端者としての視線を持つ宮崎学。



彼らとの対談を通じて、大局的視野を持ちながら、具体的な課題に対して本書は方向性を打ち出している。
理想論とリアリズムが錯綜する感じもあって、なかなか刺激的でもあった。
田原総一郎が「面白いものになっている」と言っていたが、 「確かにね」って感じだ。
まあ、田原総一朗が聴き役になっている分、佐藤優・宮崎学の意見が強い内容になってはいるけどね。



彼らが言っている考え方が世の中の主流になることはないだろう。
でもある種の重みを持って投げかけてくるものは、確かにある。
一聴に値するってのが僕の評価かな。



ただ、「幸福論」ってのは、「どうかなぁ」って思うけどねw。