鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「劣化する日本」

・劣化する日本 再生への10のシナリオ
編:BSフジ・プライムニュース
出版:ディスカヴァー携書



新年度になって「最初に読むのは何がいいかなぁ」と思ってた時に、ネットの広告で目についた作品。
BSフジの番組の書籍化したものらしいけど、頭の整理という点ではこれくらいのものがいいかなと思って手にとってみた。
まぁ、思惑通りって感じかなw。
目を見張るような主張もさほどないが、全般的にバランスのとれた内容になっている。
自分でいろんなことを考えるきっかけとしては、これくらいの内容が一番いいように思う。



取り上げられているは次の10のテーマ。



少子高齢化
社会不安
社会保障
エネルギー
財政危機
成長戦略
外交・安全保障
国と地方
教育
政治とリーダーシップ



このタイミングだとこれに「震災復興」が入れば網羅されてる感じはあるけど、震災復興については当面の課題ということで外したらしい。
これはこれで見識だろう。



それぞれのテーマについては、それぞれの専門家が解説をし、対応策を提案しているのだが、比較的議論されているテーマでもあり、びっくりするような内容の提言はない。
大筋では僕も「そうだろうな」という内容だったよ。
まぁ、それをどう実行に移すかという点ではいろいろな立場があるだろうけどね。
要すれば今の状況というのは、大体の方向性や処方箋は見えてきているんだけれども、それを実行するにあたって、いろいろな既得権益との関係もあって、前に進めないというような状況なのかもしれない。



本書を読んでいて面白かったのは、質問を投げかける側(番組サイトだと思うけど)のほうが意外にステレオタイプな考え方を持っているように見えること。
例えば雇用問題については「正社員化」っていうことかなり強く打ち出しいるような発言が見受けられた。
この問題には経済成長との関係や、若年層の失業率あるいはそれに伴う社会不安のような要素も絡んでくるので単純な回答があるわけではないと思うか、番組サイドは比較的それを型にはめようとする姿勢が見えるんだよな。
もちろん、回答する側は(専門家だけあって)それほど単純なスタンスじゃないんだけどね。



まぁ、そういう点も含めて「バランスが取れている」とも言えるかな。
何にせよ、論点整理という意味では、非常に読みやすく、お手軽な本だと思うよ。
問題意識があればあるほど、「物足りない」って感じるとも思うけどね。